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ジャックポット 単行本 – 2021/2/17
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この作家でしか書き得なかった、読者の度肝を抜く超=私小説的短篇集。コロナ禍、 戦争、 ジャズ、 映画、 文学、嫌=民主主義、 そして息子の死――。かつてなく「筒井康隆の成り立ち方」を明かす最前衛にして超弩級の〈私小説〉ここに爆誕!
亡き息子との〈再会〉を描いた感動の話題作「川のほとり」収録。
- 本の長さ281ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2021/2/17
- 寸法13.8 x 2.5 x 19.7 cm
- ISBN-10410314534X
- ISBN-13978-4103145349
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2021/2/17)
- 発売日 : 2021/2/17
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 281ページ
- ISBN-10 : 410314534X
- ISBN-13 : 978-4103145349
- 寸法 : 13.8 x 2.5 x 19.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 239,353位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,893位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。
1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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異常。以上。
え?
それじゃ参考にならない、だって?
そういうあなたは、買わないがよろしい。読まないがよろしい。
はっきり言って、これは「凡人」には理解できないし、さっそう著者も「凡人」は相手にしていないからね。
とここまでで、顔を赤らめて怒っている君、まあ、落ち着きなさい。
「凡人」と「天才」は、常に「紙一重」であることを知って、安心してください。
「究極の凡人」は「究極の天才」でもあるんだからね。
そうした「垣根」を取っ払うのが究極の天才の仕業なんだ。
「パンク」、Punk、っていうやつだよ。
異常、以上。
ps.
今年2021年は、221(ツツイ)の年だよ!
実名(!)の作家を挙げた文学論である「ニューシネマ『バベルの塔』」、戦争観を語った「南蛮狭隘族」、恋愛観を中心に老人の心境を語った「縁側の人」、映画・俳優論を語った「1955年20歳」、吝嗇な妻への皮肉が利いた「花魁櫛」、コロナ禍・五輪開催・IOC・WHOへの笑いに富んだ風刺が利いた表題作の「ジャックポット」、ジャズを中心として音楽論を語った「ダンシングオールナイト」など趣旨に沿った短編が続く中、掉尾に置かれた「川のほとり」(川は"三途の川"であろう)は亡くなった息子(51歳)との夢の中での心的交流及び母親に対する息子の思い遣りを描いて、作者の心痛を家族愛へと昇華させた読む者の胸にシミジミと迫る名作。
「川のほとり」を嚆矢として、何時もの風刺精神・"言葉遊び"を織り込みながらも筒井の思惟の成り立ちを曝け出した、ファンにとっては非常に貴重な傑作短編集だと思った。
私は49歳のオッサン、小4で筒井康隆選集「60年代日本SFベスト集成」収録作「色眼鏡の狂詩曲」を読んで以来の筒井ファンです。(筒井さんの作品は年齢によって捉え方が違うので一応記させてもらいました)
私の不勉強で、すでにそうした文学研究がなされているのかもしれませんが、筒井康隆は日本文学史において石川淳とならべて論ずるべき作家だと思います。
実験性や言語遊戯、破天荒な構成とリアリティの両立、晩年までの多作性と優れた現代性など、指摘したい点は多々ありますが、検閲を意識して書かれ後世に残った石川淳の初期作品と違い、筒井作品は今後ポリティカルコレクトネスによって消されてしまう可能性があります。(その危険性については本書の『蒙霧升降』にも記されています)
筒井康隆さんの作品は大好きですが、筒井作品に差別的な表現が含まれているのも事実で(そこに作者による文学的価値が込められているのですが)今後「キャンセル・カルチャー」(差別表現が原因で公開されにくくなる文化的財産)にならないよう、作品と作家と時代の変化について我々がどう受容していくべきか考えていかねばなりません。(「差別」と「笑い」の不可分な関係をどう捉えるべきかも)
ちょっと横道に逸れました。レビューに戻ります。
本書は年齢や筒井作品への理解度が高い読者に向けた作品が多数で、若い読者やさほど筒井作品を読み込んでいない読者には難解かもしれません。ただ筒井康隆が、本書収録の「ニューシネマ『バブルの塔」』」のラストに記された多くの作家達や、それ以外のあらゆる日本の表現者に影響を与えた巨大な存在であることは間違いありません。
その筒井康隆の現時点での到達点、表現の極北がこの本です。
ファンであれば筒井さんに超虚構を示唆した「波」の編集者 塙さんなど細部の記述にニヤリとされるでしょうし、そうでない読者も蒙昧のまま読み進めるうち不意に物語世界の感動に心打たれたり、文明批評の鋭さに驚嘆させられたりすることでしょう。
齢86歳の老作家が現代を語る、齢86歳の老作家が文学の最前線をたった1人で切り拓いている、そんなことがありえるのかと思う人はぜひ本書をご一読ください。筒井さんの感性の瑞々しさ、博識に驚かれるに違いありません。
本書の読み方として「作品中で紹介される楽曲をネットで検索して聴きながら読む」「文中の分からない語句を検索しながら読む」ことをオススメします。(筒井さんの作品に出てくる奇天烈な語句が本当にあるのか創作なのか、曖昧なまま読み進めるのも楽しいですが、新しい日本語を知れる文学作品が今は少なくなってしまったので、ここは各自で調べて本来の日本語の豊かさを知るのも一興かと思います。「中公、嶋中社長の恐怖演説」など若い読者はうっかり読み飛ばしてしまうような劇薬が紛れ込んでいるのも筒井作品の魅力です。言葉の洪水にぜひ耽溺してください。単なる語呂合わせと思っていた言葉が史実に基づいていたりするので、その背景を知ることで作品の深みが何倍にも増します。私はまさかと思いながら「聞き耳ネコちゃん」というワードを調べて、それがCIAのスパイ計画に由来する事実を初めて知り驚嘆しました。ほんと油断できません)
と、ここまで書いてですが、実はこのレビューを書いている時点で、私は本書の前半しか読み終えていません。
読み終える前に傑作であること、ただし万人受けする書物でないこともわかったので、より多くの人にこの作品の素晴らしさを知ってもらいたく、矢も盾もたまらず先にレビューを書かせてもらいました。
初出の文芸誌で収録作数篇は読んでいましたが、近年の筒井短篇の切れ味は異常で、今回通読することで筒井さんの予見性に改めて気付かされました。これは今、現代において読まれるべき本です。
この短編集の白眉となる、御子息の死を描いた「川のほとり」を未読なので、本書全体を評することはできませんが、前半を読んだだけで傑作であり、文明の転換期と自身の「死」を併行して描いた長篇として評すべき短編集だと思います。(最新作の「川のほとり」までを収録した新潮社の意図もそこにあるのでしょう)
濃密な死の匂いと遺言のような静謐さ。
「終わり」の予感を前に始まる盛大なフィナーレ。奇妙な明るさとねじくれたユーモア。「死」と「祝福」の融合。強烈な生命力の輝き。あるいは走馬灯のあかり。
私は筒井さんの作品以上に心を揺さぶられる作品に出会ったことはありません。たぶん、これからもずっと。
筒井さんの次作を心待ちにしております。
もちろん私だけでなく、これを読んでいるあなたもきっと。
(ここから追記です)
読了したので後半のレビューです。(前回レビューを書いた時点では「漸然山脈」から「ニューシネマ『バブルの塔』」までを読んでいました)追加でレビューすべきか迷ったのですが、前半で絶賛したぶん後半ではいろいろ思う所もあり、率直な感想を書かせてもらうことにしました。
キレッキレの前半収録作から、後半の迷走へ。
時空と小説手法を軽妙に縦横無尽に駆け抜ける洒脱な「レダ」、極めて危険でスリリングな短篇「南蛮狭隘族」(これを掲載した『群像』は腹を括ったと思います。炎上しかねない趣向ですが作者の創作意図が「偽文士日碌」に少しだけ記されており理解の補助線になります)は楽しめましたが、「縁側の人」と表題作「ジャックポット」「ダンシングオールナイト」には正直困惑しました。
一見いつもの筒井作品のようでありながら、どこか心ここにあらずとの印象を受けたからです。
精神的につらい時期に執筆された作品であり、いろいろ考えさせられました。(それでも『花魁櫛』のようなエンタメが今でもさらりと書ける筒井さんの作家的筋肉には驚かされますが)
最後に収録されている「小川のほとり」を読み終え、筒井さんがグリーフワーク(喪の作業)を自覚的に行っていることを強く感じました。
作家しか感じることができない、書くことでしか埋められないもの、癒せないものがあるのかもしれません。
そうした作品に対して安々と「次作を楽しみにしています」とはとても言えません。
ただ、それでも私はこれからも筒井さんが書くものを読まずにはいられないでしょう。
最後に「小川のほとり」と併せて読んでほしい短篇を紹介させてください。
「近づいてくる時計」(『最後の伝令』収録)
「夢の検閲官」(『夜のコント・冬のコント』収録)
いずれも「死」と「夢」と「別れと再生」を描いた筒井さんの名短篇です。
この2作品を読んだ後に「小川のほとり」を再読すると、まるでひとつの作品のようにぴたりと繋がることに驚きました。
作者の「死」と「夢」に対する思考の変遷が明確になるのでこの機会にぜひご一読ください。
また「タマゴアゲハのいる里」(『最後の伝令』収録)、「魚」(『夜のコント・冬のコント』収録)は描き方こそ違うものの、どちらも「子供と死に別れた夫婦」がモチーフとなっており、「小川のほとり」と関連して読める作品だと思います。
ここまで書いて、もともと筒井さんが「子供との別れ」や「その苦しみを乗り越える夫婦」を描き続けてきたことに今、気づきました。
その理由について詳しくは書きませんが、もともと筒井さんはそうしたテーマを背負っていた作家でした。そう考えると今回の御子息との死別がどれほどのつらさか。ちょっと言葉にできません。
本書の帯に「超=私小説爆誕!」とありますが、そもそも筒井さんはデビュー当時から常に虚実の合間を縫う「超=私小説」を描き続けてきた作家でした。これからどこまで描くつもりなのか。
私たち読者はただ見つめるしかありません。
あっちゃ、こっちゃに書き散らした散文(注:三文ともいう)小説、
あちゃこ小説を搔き集め、つつーいと一冊にまとめただけの本が本書です。
言い過ぎたな、コホン(咳払い)。
全然まとまってないけど、まとめようともしない、しょもない本。ないないづくし。
筒井さんのダジャレは笑うしかありません。ククク。さむーい、カゼひきそう。
「カレーライスは高齢者にいいらしいよね。だって加齢ライスだもんね」(170頁)
「動機は餅です。それこそがモチベーション、なんちゃってね」(237頁)
「誤変換ギャグ」(43頁)も、ここまで乱発、連発、スカされると、
誤字脱字の校正係も、こうせい、ああせー一切言わず、口を開けて苦しそうに息をしているだけ。
何じゃこれ、わけわからん。
「何が何やらわからんだろう。わしにもわからん」(189頁)
笑うしか……
ということで、本書は笑いの特集。
「いひひひひ」(12頁)
「あはは」(13頁)
「イスラエルの寝たニヤニヤふふふふふふ首相」(37頁)
「どうせ誤変換ギャグばかりだ。あはははは」(43頁)
「あはははははと空虚な笑いを笑うしかないな」(62頁)
「お前は何を笑っているのだ」(64頁)
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「に、にひひ、にひひひひひひひひひ」(69頁)
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「男はわしと娘の顔を交互に見てからにっかりと笑い」(73頁)
「あははははは」(77頁、167頁)
「いっひっひっひっひ」(100頁)
「あはははは」(108頁、187頁、190頁)
「あはは」(110頁、168頁)
「わはははははは」(140頁、198頁)
「わはははは」(157頁)
「わはは。やっぱり笑ってしまうな」(159頁)
「わははははははははジャップを殺せ」(178頁)
「あははははははははははは」(180頁)
「わはははははははははははは」(191頁)
「イツモゲラゲラワラッテヰル」(203頁)
「わははははははは」(205頁)
「わははは」(205頁)
「引っくり返ったままげらげら笑い出してそのままおかしくなってしまった」(211頁)
「わはははははははは」(246頁、248頁)
「焼け石に水じゃあはははははは」(253頁)
「あの魅力的な苦笑」(280頁)
本書はただの単語の羅列。端午の節句は、花より団子。
たんごの羅列とろれつが回らんで、
「おいこらあ筒井。お前も来んかあ」(216頁)の声が聞こえる。
「三途の川」(157頁、275頁)を渡る日もそう遠くない。
リズムとダジャレで潔く、駄文駄文と波に乗って、ひょっこりひょうたん島。
リズムと言っても、<し>のリズム ……
「ハロゲンボーゲンゾーリンゲン、スケベニンゲンレントゲン」(265頁)
スケベニンゲンが韻を踏む、やー、こりゃこりゃ。
著者の筒井さんは、むかしむかしのことばかり、思い出すきょうこのごろ デス。
筒井さんに、<し>を感じるです。
「詩かね。詩は昔、わしだけではなく、若い連中がみんな好んでおってな」(188頁)
「最後の作品はその作家の遺言か。いやいやすべての作品が遺言だ。処女作で遺言を書いてしまう作家もいる」(53頁)
死んじゃあ、おしまいよ。
「死は死にながら死ぬのだから」(61頁)
「子供の死は痛い。誰にとっても」(62頁)
「そこではおれが死ぬのだ。そこはおれの死に場所なのだから」(64頁)
「やっぱりわたしなんか死んだ方がいいのかしら」(77頁)
「お前なんでそんなに死を気にするんだ、なんて笑いながら言っていました」(87頁)
「筒井君は死をどう思うか」(87頁)
「突然息吹き返してわはははははあと三十年生きるってことになるかもしれない」(93頁)
「お前さんの息子や孫の方が早く死ぬかもしれない、いつ来るかわからないから死なんだってね」(96頁)
「今夜はそんなわたしに相応しいテーマ、死についておしゃべりさせてもらいました」(100頁)
「死は死にながら死にしゃんす麿は死ぬのはいやでおじゃるいやでおじゃると泣き叫ぶ」(137頁)
「わしはまだ死にとうないわい。死ぬのは厭じゃ」(156頁)
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「もっと安楽に死にたいわい。老衰で死にたいわい」(158頁)
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「みんなで仲良く死んでいけ」(166頁)
「老兵は死なず。若いのが死ぬ」(169頁)
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「ひやーみんな死んじまったよー」(180頁)
「死ぬがよい、高貴な精神よ」(187頁)
「死ぬのをやめるためだけかなあ」(190頁)
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「行ッテ一緒ニ死ヌ死ヌトイヒ」(204頁)
「早ク死ネトオモハレ」(204頁)
「こんな気分のままで死ねたらええがのう」(206頁)
「坂口安吾が死んだ」(213頁)
「主演者が死んだばかり」(221頁)
「息子が五十一歳の若さで死んでしまう」(224頁)
「わはははははははは。お前ら死ね」(248頁)
「通天閣ではアマビエがビリケンと抱きあって死んでいた」(253頁)
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「やっぱり覚悟してたのか。死ぬことがわかってたんだ」(279頁)
絶句。合掌。