Procrastinationは訳すれば「先延ばし」、Procrastinatorは「後回しにする人」。
本書は、どうすればやらなければならないことを後回しにしないで済むかという、怠け者にとっての永遠にテーマについて述べられている。アプローチとしては、著者が心理学者であることから、単なる精神論ではなく、心理学上の知見を前提とした方法論が示されている。
章毎の内容としては、Procrastinationとは何か、Procrastinationのコスト、なぜ我々は「明日やろう」と思うのか、先延ばししてしまうときの言い訳・自己欺瞞の仕組みとProcrastinationの関係、"Just Do It"ではなく"Just Getting Started"がより重要な理由、気が散ってしまったときの対処法、意志力とProcrastinationの関係、性格とProcrastinationの関係、スマホやパソコンといったメディアとの付き合い方、となっている。
まず、なぜ我々は、怠けて先延ばしにしてしまうのか、グズるとき我々はどのようなことを考えるのか、そうしたテーマを通じてProcrastinationの仕組み・Procrastinationの典型パターンが述べられる。その上で、先延ばし防止のための方法論が具体的に述べられる。 複数の興味深いアプローチが示されるが、基軸となるアプローチは、先延ばしをしてしまうときに我々が考えることの典型パターンをおさえ、あらかじめ、そうした考えが浮かんだときに何をするのかを事前に決めていくという方法だ(Implementation Intention)。
具体的には、If..., then...の形で、自分の行動を規定する。例えば、「もし、私が『明日やろう』と考えたら、（それは典型的な先延ばしのための言い訳・自己欺瞞であるから）第一ページ目から読み始めよう」などと事前に決める。実際に試してみるとそれなりに効果的に感じた。
良い点
・簡潔
冒頭にも書かれているが、必要な情報だけしか書かれていないため、全部でたったの107頁と短い。心理学と自己啓発のミックス本にありがちな冗長な心理学実験の紹介、学説の紹介が意図的に排除されている。
・平易
文章が極めて平易。英語力が低い人でも読めるはず。
悪い点
特になし
結論 ★×５
怠けぐせのために実力を発揮できない、いつも締め切り直前になって苦しんでしまう、精神論を試そうにもそもそもそんな精神力なんてなく挫折してしまう・・・そういった全ての悩める怠け者にオススメできる内容。
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