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人新世の「資本論」 (集英社新書) Kindle版
【『新書大賞2021』第1位!大賞受賞作!!】人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。
【各界が絶賛!】■松岡正剛氏(編集工学研究所所長)
気候、マルクス、人新世。 これらを横断する経済思想が、ついに出現したね。日本はそんな才能を待っていた!
■白井聡氏(政治学者)
「マルクスへ帰れ」と人は言う。だがマルクスからどこへ行く? 斎藤幸平は、その答えに誰よりも早くたどり着いた。 理論と実践の、この見事な結合に刮目せよ。
■坂本龍一氏(音楽家)
気候危機をとめ、生活を豊かにし、余暇を増やし、格差もなくなる、そんな社会が可能だとしたら?
■水野和夫氏(経済学者)
資本主義を終わらせれば、豊かな社会がやってくる。だが、資本主義を止めなければ、歴史が終わる。常識を破る、衝撃の名著だ。
【各界が絶賛!】■松岡正剛氏(編集工学研究所所長)
気候、マルクス、人新世。 これらを横断する経済思想が、ついに出現したね。日本はそんな才能を待っていた!
■白井聡氏(政治学者)
「マルクスへ帰れ」と人は言う。だがマルクスからどこへ行く? 斎藤幸平は、その答えに誰よりも早くたどり着いた。 理論と実践の、この見事な結合に刮目せよ。
■坂本龍一氏(音楽家)
気候危機をとめ、生活を豊かにし、余暇を増やし、格差もなくなる、そんな社会が可能だとしたら?
■水野和夫氏(経済学者)
資本主義を終わらせれば、豊かな社会がやってくる。だが、資本主義を止めなければ、歴史が終わる。常識を破る、衝撃の名著だ。
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登録情報
- ASIN : B08L2XMQKX
- 出版社 : 集英社 (2020/9/22)
- 発売日 : 2020/9/22
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 5567 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 318ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 9,628位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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イメージ付きのレビュー
4 星
「脱成長」といっても「成長」が不可避。
世間でもてはやされていることに気を取られないで1人1人がしっかりと考えようというところはとても賛同できます。ただ、作者自身が自己矛盾を多く含んだ書かれ方をしているので、よく言うなら、あえてそのように書いて読者に考えさせるようにしているのかなという感じで、悪く言うならブーメランという感じですね。そもそも作者の「脱成長」というのは、GDPが減っていくようにするのではなく、増えていくことを前提にしているため「脱成長」という言葉の選択自体が間違えている感じです。更に求める条件として、社会保障、災害対策の充実、生活に必要なものは国営化推進、労働時間の削減など成長が不可避になるようなことばかりです。国からのお金は赤字国債の発行で補うなどMMT理論を前提にしているところもあります。また、災害が増えているから二酸化炭素を抑えようという提案をしていますが、どれだけ抑えようとも温度は下がらずに上がると書かれています。つまり、すべてをやめたとしても増えた災害は現状よりも下がることはないと書かれているわけです。その上で成長を抑えて、手作業を推進しようなど、「災害対策はもう無理だからすべてほったらかして現状維持しようぜ」と書かれているようなものです。いったい誰が災害対策をするのかがさっぱり書かれていないし、耐震工事に堤防の設置など機械を使わずに出来るわけがないじゃないかと疑問に思うのは当たり前ですし、思わないのであればこの本を読んでいないということでしょう。この本が流行っているということは、それだけ読解力がなく自己で考えない人が空気だけで盛り上がっている状態になっているということです。つまり、だいたいの世論はこんな感じになっているということがよく分かる本なのでそういう意味ではオススメの本です。この本を読む場合は以下の2冊も合わせて読むと理解が深まると思います。柿埜真吾:自由と成長の経済学 「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠オルテガ・イ・ガセット:大衆の反逆
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2024年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
知人から斉藤幸平さんを教わった。難しいのだけれど、言わんとする事はわかる。これをきっかけとして新聞などで斎藤さんの記事があると切り取って大事にして知人にも教えたりしている。
2024年2月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
・地球はどうなってしまうんだろう?
・自分にできることってある?
・結局は変わらないんじゃない?
・誰かが解決してくれるでしょ?
という疑問なり、思いなりを持ってことがある人なら刺さる部分はあると思います。
そういった中で「脱成長」をかかげながら、人が生きていくために必要なもの、「水」「住居」「医療」「教育」などのものを公共財、つまり「コモン」にするのが理想なのも分かります。
そして、エコバックを買うなど一見環境に貢献しているような気になってしまっている、我々自身が薄々感じているものを指摘してくれています。
ただ他の方もおっしゃっているように、そのような我々がどう目覚めるべきなのか?というところに具体性が欠けるというか、じゃあ自分はどのようなアクションを起こせばいいのだろう??という疑問がどんどん湧きました。
資本主義にどっぷり浸かっている自分がどうやった「3.5%」の人間になれるのか?(世の中で3.5%の人が動けばそれが元となって社会が変わるということを著者は最後の方で触れています。これは多くのことで言われていることではあります)というところまでは、自分の中で見出すことはできませんでした。
確かに身近な我々がやっていることは偽善の部分もあると思います。ですから著者が述べているような大きな転換をするべきだというのはもっともでです。しかし、日々の生活(仕事、家族、友人、趣味など)の中である程度手一杯な我々ができることを、つまりいきなりの飛躍を大衆に求めるのではなく、大きな飛躍のための小さなステップを提示してくれることも重要なのではないかと感じました。
それでも、やはりこのままではいけない。どういった活動が地域ではあるのか、自分ができるのかと調べてみようと私自身思いましたし、3.5%になるための方法を模索しようというアンテナはわずかですが立つようになったので良かったです。
・自分にできることってある?
・結局は変わらないんじゃない?
・誰かが解決してくれるでしょ?
という疑問なり、思いなりを持ってことがある人なら刺さる部分はあると思います。
そういった中で「脱成長」をかかげながら、人が生きていくために必要なもの、「水」「住居」「医療」「教育」などのものを公共財、つまり「コモン」にするのが理想なのも分かります。
そして、エコバックを買うなど一見環境に貢献しているような気になってしまっている、我々自身が薄々感じているものを指摘してくれています。
ただ他の方もおっしゃっているように、そのような我々がどう目覚めるべきなのか?というところに具体性が欠けるというか、じゃあ自分はどのようなアクションを起こせばいいのだろう??という疑問がどんどん湧きました。
資本主義にどっぷり浸かっている自分がどうやった「3.5%」の人間になれるのか?(世の中で3.5%の人が動けばそれが元となって社会が変わるということを著者は最後の方で触れています。これは多くのことで言われていることではあります)というところまでは、自分の中で見出すことはできませんでした。
確かに身近な我々がやっていることは偽善の部分もあると思います。ですから著者が述べているような大きな転換をするべきだというのはもっともでです。しかし、日々の生活(仕事、家族、友人、趣味など)の中である程度手一杯な我々ができることを、つまりいきなりの飛躍を大衆に求めるのではなく、大きな飛躍のための小さなステップを提示してくれることも重要なのではないかと感じました。
それでも、やはりこのままではいけない。どういった活動が地域ではあるのか、自分ができるのかと調べてみようと私自身思いましたし、3.5%になるための方法を模索しようというアンテナはわずかですが立つようになったので良かったです。
2020年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人類による地球破壊の自虐性は、「人新世・資本論」の主軸となる課題である。
その処方箋として「脱成長コミュニズム」の飽くなき追求が必要となるが、そのヒントは、
意外にも晩期「カール・マルクス」の思想の中に眠っていたようだ。
この点につき、本書とリンクする形で直近に読んだ「マルクス・ガブリエル 危機の時代を
語る」(NHK出版新書2020年9月10日第1版初出)において「マルクス・ガブリエル」氏
(以下MGと記す)が「カール・マルクス」(以下KMと記す)について語った興味深い発
言がある。以下に示そう。
「私(MG)は、マルクス(KM)主義者で『ありません』が、それについては注意しなけ
ればなりません。マルクス(KM)主義のイデオロギーは世界最大の国、中国を動かしてい
るイデオロギーなのです。共産主義は、失敗したという考えも『ひどい誤り』である。中
国は『うまくいっているのではありません』。私が指摘しておきたいことは、現在のとこ
ろマルクス(KM)主義は『まだ終わってない』ということです。」(同書26頁)。
マルクス主義は『まだ終わってない』というところは、晩期「カール・マルクス」(KM)
の思想を意識してのことだろう。中国は『うまくいっているのではありません』。という
のは、「古びた近代化」、本書でいう、「生産力至上主義」や「エコ社会主義」を意味し
ているともとれる(本書197頁:図17参照)。この点から、「カール・マルクス」(KM)
の晩年とそれ以前の「古びた近代化」とは「ギアーが変わった」ことが意識できる。
そのことは、「CO₂悪玉論」を基軸とする「気候ケインズ主義の弊害」とも親和性のある
本書冒頭の「SDGsは、現代版大衆のアヘンである」という触発的問題提起も、「国連の
SDGsは批判されないといけない」(本書354頁)というように「限定的に」収束すると
いう視点で考察していきたい。
それでは、本書の大上段の「テーマ」である、斉藤氏のいう「脱成長」とはいかなるもの
か、から見ていくこととしよう。
それは、一言でいえば「定常型経済」(本書110頁)を念頭に置いたものである。「定常
型経済」は、「生産と消費を繰り返しつつ、同じ経済状態を再現し続ける経済」のことで、
「世代の交代と資本の更新を続けながら、人口や資本量、生産量、消費量が変わらないま
ま推移する状態」=「定常状態」にあることを意味する。
その上で、GDPだけを重視する経済から「脱却」し、「人間」と「自然」を重視して適切
な「規模を定常」する。それゆえ、自然の「持続可能性」と、人間社会における「平等」
を指向する。
このことは、マルクス(KM)の資本論でいうところの、協業と、「地球」と労働によっ
て生産された生産手段を「コモン」として占有することを基礎としつつ、「個人的所有を
再建」することでもある。
特に、「地球」という表現を用いる斉藤氏は、その意図は、不動産という意味ではなく、
広く「自然全体」と捉えることは、むしろ、マルクス(KM)の資本論の趣旨と親和的な
のである。
また、「個人的所有を再建」とは、「コモン」=「共有財産」として、「限定的なSDGs」
としての「ドーナツ化モデル論」を用いて「限定的な」の意図に「ラディカルな潤沢さ」
のニュアンスを込めているのである。
もっとも、「限定的な『SDGs(持続可能な開発目標)』」と言う以上は、持続可能な開
発目標も自ずと抑止的にならざるを得ず、「ラディカルな潤沢さ」というのは、気難しく、
すぐに機嫌を損なう。
「コモンを取り戻す」こと、即ち「コミュニズム」の意味に他ならないが、マルクス(KM)
に言わせれば、1度目の「否定」は、「資本によるコモンズの解体」であり、それをさらに
「否定」するコミュニズムは、「コモンズの再建」=「ラディカルな潤沢さ」の回復とい
う位置付けになる。
このような「否定」の「否定」というトートロジーであるがゆえの機嫌なのである。
それゆえ「コモン」は「商品化の抵抗」という闘争の側面となって具現化し、「定常状態」
を保つのは容易ではない。以上が、「脱成長コミュニズム」の要旨である。
そこで、斉藤氏は、「脱成長コミュニズム」を図るべく、5本の柱を提唱している。以下
に簡単に振り返っておこう。
(1)使用価値経済への転換(柱①)――資本の価値増殖を優先して、「使用価値」を犠牲
にすることは許されないという指標である。パンデミック下で、先進国である日本が、
マスクすら十分に作ることができなかった事例はその弊害である(本書301頁)。
(2)労働時間の短縮(柱②)――コミュニズムは、ワークシェアによってGDPに表れない
QOL(生活の質)を目指すという指標である(本書304頁)。脱炭素社会に移行していく
場合、エネルギーという「奴隷」は減少する一方で、人間が長時間、働く必要がでてくる
のであり、自ずと労働時間の短縮にブレーキーがかかるという弊害の側面を併せ持ってい
る(本書306頁)
(3)画一的な分業の廃止(柱③)――コミュニズムの視点から労働の創造=「共創」という
指標である。すなわち、「使用価値」に重きを置いた生産を実現するため、マニュアル化
の作業効率を強いる労働を排除し、労働者の自律性を確保は、労働以外の余暇とも相関す
る「マルチライフステージ」を問うものである(本書307参照)。
(4)生産過程の民主化(柱④)――先進技術の共有化が新たなイノベーションを導くという
指標である(本書310頁)。世界の富裕層トップ10%がCO₂の半分を排出に責任を状況下
(本書81頁:図9)で、「帝国主義的生活様式の平準化」を進める特攻として、3.5%の
人々が、本気で立ち上がるアソシエーションが期待できるというものである(本書362頁)。
マルクス(KM)の生きた時代で言えば、アソシエーションは生産過程における民主主義を
重視するが故に、経済活動を減速させる効果があったのだが、ソ連はこれを受け入れず全
体主義国家になったのである(本書311頁)。
(5)エッセンシャルワークの重視(柱⑤)――介護や看護のように、相手に合わせて繊細な
要求に応える難しい仕事が長時間労働と低賃金に苛む現状を「ケア階級」が、一時的な抗
議に終わらせず、自治管理の実践につなげていこうとする指標である(本書318頁)。
「ブルジット・ジョブ」(どうでもいい仕事)が、広告業やコンサルタント業を中心に、
近年急速に増えていることに警笛を鳴らすものである。
次に、「帝国的生活様式」と「生態学的生活様式」の批判的視点(本書340頁)の視座と
なる考察事例を、4つのパートに分類される未来型モデル論(本書113頁:図14参照)か
ら、以下に示しておこう。
(1)「生態学的生活様式への批判(その①)――「気候毛沢東主義[左上]本書114頁③」」
チベット活動家のマウラ・モイナハンは、三峡ダムを取り巻く何か月も続く大雨と洪水に
よる都市灌水被害の背後には、「中共」によるチベットの軍事化、水の武器化の一端とし
て、チベット高原の水、第三の氷河といった水資源の寡占支配が続いていることを指摘し
ている(脱党支援センター2020年9月18日参照)。左派グローバリスト「シェアリングエ
コノミー(共有資産経済)」=「共産主義」の弊害の一例である。
(2)「生態学的生活様式への批判(その②)――「気候ファシズム[右上]本書113頁①」」
小泉進次郎環境相が、政府の2030年度の温室効果ガス削減目標を達成するため「一番のカ
ギは再生可能エネルギーだ」として、住宅への太陽光パネル設置義務化「46%削減する」
妄想というのは、原料「ポリシリコン」の主要な供給地が中国・新疆(しんきょう)ウイ
グル自治区であるウイグル族が生産工場で強制的に働かされている事に配慮しない人権侵
害に間接的に加担する顛末事例が指摘できる(2021年4月27日)。
右派グローバリスト「新自由主義」の典型例で、本書でもグレタ・トゥーンベリさんが紹
介されているが、「国連の気候変動会議(COP24)」に出席するため「CO₂排出を懸念し、
飛行機のかわりにCO₂排出量がゼロのヨットを利用した」のであるが、わざわざ大西洋を
横断に15日間にわたる4800キロの旅を終えてニューヨークに到着するという「偽善に満
ちた」パフォーマンス事例(スタッフは悠々と飛行機で移動)と受け取られてもやむを得
ないことと比類する(2019年8月28日)。
(3)「帝国的生活様式への批判(その①)――「野蛮状態[右下]」本書114頁②」」
ワシントン州シアトル市の一角に「キャピトル・ヒル自治区」を発足させたと宣言がなさ
れたジョージ・フロイド事件は、黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官に暴行された
事件をきっかけに広がった抗議デモである。
その根底には、「公権力が信用できないから自治を求める」というものは、「脱成長コミ
ュニズム」のその柱(①ないし⑤)にもあてはまらない「野蛮状態」と言える。
民主主義国家アメリカでは政治家は「自分たちの代表」、警察など公務員はその配下であ
るはずで、間接的であれ「自分たちで物事を決める」ことはできているはずだけに、ショ
ッキングな出来事なのである(2020年6月11日)
(4)「帝国的生活様式への批判(その②)――「「X」=「脱成長コミュニズム」[右下]」
本書114頁④、281頁④」」
「脱成長コミュニズム」が万能でない指摘として、「安全保障の考慮」が完全に抜け落ち
ていることである。そのため、「批判」というより「緩衝」が最もうまくいっている主権
国家(中国は否認するが)―「台湾」の施策を挙げる。
台湾は中国の一帯一路(戦狼外交)がいかに辛辣かよくご存知であり、蔡英文総統の政府
の役割は「小さな政府」として「平等」性を指向しながら「権力性」の関与も低い。
ただ、近年、中国本土で働く台湾市民の数はここ数年で減少しているが、それでも台湾の
外で働く市民の就職先として最も多いのは中国であり、特に、ハイテク部門(TSMCなど)
の人材流出を阻止するための強硬手段であり、通達に違反した者には「罰金も科す」旗手
を鮮明にしている。
「脱成長コミュニズム」のため、いくら「平等」性を指向しながら「権力性」の関与も低
いとはいえ、日本という「大きな政府」の「お節介型レジ袋有料化」という「あまりにし
ょぼい」施策とは根底から異なる。パンデミック施策で台湾に劣るのも当然なのである。
―――最後に、総括しよう。
「脱成長コミュニズム」の領域内で、極めて「限定的なSDGs」というのは、結局のところ
、潤滑油(バッファ)としての役割を担う人、集合体がエッセンシャルワーカーとしての
役割を担い、「新たな中産階級」=「コモン層」として稼げる地域経済の再建を根ざして
いるにすぎない。
先にみた(1)「中共」に対する安全保障、(2)「温暖化(CO₂)は人新世の自虐性とは
『本来は』無関係」という視座が「人新世・資本論」にとって何ら寄与しないということ
を物語っている。
2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会という表面上のトレンドは、「SDGs(持続可
能な開発目標)のために人類は自然環境を守り、DX(デジタル技術による破壊的な変革)
で世界が高速ネットワークでつながる。その意味するところは何か。
特に、米ドルに対抗できる通貨としての「デジタル人民元」、石油に依存するイスラム世
界弱体化のための「脱炭素社会実現」にこそある。
気候変動を抑えるために二酸化炭素の排出を制御するというビジネスプロパガンダは、 世
界を送電網でつなぐ「スーパーグリッド」――中国が築き上げているデジタル監視インフ
ラのうち、 ①5G通信基地局、 ②海底ケーブル、③国際送電網、④低軌道衛星通信、⑤ 巨
大データセンターのすべての分野でファーウェイの関与はかなりの割合を占め、摩擦が起
きることは必然なのである。
その処方箋として「脱成長コミュニズム」の飽くなき追求が必要となるが、そのヒントは、
意外にも晩期「カール・マルクス」の思想の中に眠っていたようだ。
この点につき、本書とリンクする形で直近に読んだ「マルクス・ガブリエル 危機の時代を
語る」(NHK出版新書2020年9月10日第1版初出)において「マルクス・ガブリエル」氏
(以下MGと記す)が「カール・マルクス」(以下KMと記す)について語った興味深い発
言がある。以下に示そう。
「私(MG)は、マルクス(KM)主義者で『ありません』が、それについては注意しなけ
ればなりません。マルクス(KM)主義のイデオロギーは世界最大の国、中国を動かしてい
るイデオロギーなのです。共産主義は、失敗したという考えも『ひどい誤り』である。中
国は『うまくいっているのではありません』。私が指摘しておきたいことは、現在のとこ
ろマルクス(KM)主義は『まだ終わってない』ということです。」(同書26頁)。
マルクス主義は『まだ終わってない』というところは、晩期「カール・マルクス」(KM)
の思想を意識してのことだろう。中国は『うまくいっているのではありません』。という
のは、「古びた近代化」、本書でいう、「生産力至上主義」や「エコ社会主義」を意味し
ているともとれる(本書197頁:図17参照)。この点から、「カール・マルクス」(KM)
の晩年とそれ以前の「古びた近代化」とは「ギアーが変わった」ことが意識できる。
そのことは、「CO₂悪玉論」を基軸とする「気候ケインズ主義の弊害」とも親和性のある
本書冒頭の「SDGsは、現代版大衆のアヘンである」という触発的問題提起も、「国連の
SDGsは批判されないといけない」(本書354頁)というように「限定的に」収束すると
いう視点で考察していきたい。
それでは、本書の大上段の「テーマ」である、斉藤氏のいう「脱成長」とはいかなるもの
か、から見ていくこととしよう。
それは、一言でいえば「定常型経済」(本書110頁)を念頭に置いたものである。「定常
型経済」は、「生産と消費を繰り返しつつ、同じ経済状態を再現し続ける経済」のことで、
「世代の交代と資本の更新を続けながら、人口や資本量、生産量、消費量が変わらないま
ま推移する状態」=「定常状態」にあることを意味する。
その上で、GDPだけを重視する経済から「脱却」し、「人間」と「自然」を重視して適切
な「規模を定常」する。それゆえ、自然の「持続可能性」と、人間社会における「平等」
を指向する。
このことは、マルクス(KM)の資本論でいうところの、協業と、「地球」と労働によっ
て生産された生産手段を「コモン」として占有することを基礎としつつ、「個人的所有を
再建」することでもある。
特に、「地球」という表現を用いる斉藤氏は、その意図は、不動産という意味ではなく、
広く「自然全体」と捉えることは、むしろ、マルクス(KM)の資本論の趣旨と親和的な
のである。
また、「個人的所有を再建」とは、「コモン」=「共有財産」として、「限定的なSDGs」
としての「ドーナツ化モデル論」を用いて「限定的な」の意図に「ラディカルな潤沢さ」
のニュアンスを込めているのである。
もっとも、「限定的な『SDGs(持続可能な開発目標)』」と言う以上は、持続可能な開
発目標も自ずと抑止的にならざるを得ず、「ラディカルな潤沢さ」というのは、気難しく、
すぐに機嫌を損なう。
「コモンを取り戻す」こと、即ち「コミュニズム」の意味に他ならないが、マルクス(KM)
に言わせれば、1度目の「否定」は、「資本によるコモンズの解体」であり、それをさらに
「否定」するコミュニズムは、「コモンズの再建」=「ラディカルな潤沢さ」の回復とい
う位置付けになる。
このような「否定」の「否定」というトートロジーであるがゆえの機嫌なのである。
それゆえ「コモン」は「商品化の抵抗」という闘争の側面となって具現化し、「定常状態」
を保つのは容易ではない。以上が、「脱成長コミュニズム」の要旨である。
そこで、斉藤氏は、「脱成長コミュニズム」を図るべく、5本の柱を提唱している。以下
に簡単に振り返っておこう。
(1)使用価値経済への転換(柱①)――資本の価値増殖を優先して、「使用価値」を犠牲
にすることは許されないという指標である。パンデミック下で、先進国である日本が、
マスクすら十分に作ることができなかった事例はその弊害である(本書301頁)。
(2)労働時間の短縮(柱②)――コミュニズムは、ワークシェアによってGDPに表れない
QOL(生活の質)を目指すという指標である(本書304頁)。脱炭素社会に移行していく
場合、エネルギーという「奴隷」は減少する一方で、人間が長時間、働く必要がでてくる
のであり、自ずと労働時間の短縮にブレーキーがかかるという弊害の側面を併せ持ってい
る(本書306頁)
(3)画一的な分業の廃止(柱③)――コミュニズムの視点から労働の創造=「共創」という
指標である。すなわち、「使用価値」に重きを置いた生産を実現するため、マニュアル化
の作業効率を強いる労働を排除し、労働者の自律性を確保は、労働以外の余暇とも相関す
る「マルチライフステージ」を問うものである(本書307参照)。
(4)生産過程の民主化(柱④)――先進技術の共有化が新たなイノベーションを導くという
指標である(本書310頁)。世界の富裕層トップ10%がCO₂の半分を排出に責任を状況下
(本書81頁:図9)で、「帝国主義的生活様式の平準化」を進める特攻として、3.5%の
人々が、本気で立ち上がるアソシエーションが期待できるというものである(本書362頁)。
マルクス(KM)の生きた時代で言えば、アソシエーションは生産過程における民主主義を
重視するが故に、経済活動を減速させる効果があったのだが、ソ連はこれを受け入れず全
体主義国家になったのである(本書311頁)。
(5)エッセンシャルワークの重視(柱⑤)――介護や看護のように、相手に合わせて繊細な
要求に応える難しい仕事が長時間労働と低賃金に苛む現状を「ケア階級」が、一時的な抗
議に終わらせず、自治管理の実践につなげていこうとする指標である(本書318頁)。
「ブルジット・ジョブ」(どうでもいい仕事)が、広告業やコンサルタント業を中心に、
近年急速に増えていることに警笛を鳴らすものである。
次に、「帝国的生活様式」と「生態学的生活様式」の批判的視点(本書340頁)の視座と
なる考察事例を、4つのパートに分類される未来型モデル論(本書113頁:図14参照)か
ら、以下に示しておこう。
(1)「生態学的生活様式への批判(その①)――「気候毛沢東主義[左上]本書114頁③」」
チベット活動家のマウラ・モイナハンは、三峡ダムを取り巻く何か月も続く大雨と洪水に
よる都市灌水被害の背後には、「中共」によるチベットの軍事化、水の武器化の一端とし
て、チベット高原の水、第三の氷河といった水資源の寡占支配が続いていることを指摘し
ている(脱党支援センター2020年9月18日参照)。左派グローバリスト「シェアリングエ
コノミー(共有資産経済)」=「共産主義」の弊害の一例である。
(2)「生態学的生活様式への批判(その②)――「気候ファシズム[右上]本書113頁①」」
小泉進次郎環境相が、政府の2030年度の温室効果ガス削減目標を達成するため「一番のカ
ギは再生可能エネルギーだ」として、住宅への太陽光パネル設置義務化「46%削減する」
妄想というのは、原料「ポリシリコン」の主要な供給地が中国・新疆(しんきょう)ウイ
グル自治区であるウイグル族が生産工場で強制的に働かされている事に配慮しない人権侵
害に間接的に加担する顛末事例が指摘できる(2021年4月27日)。
右派グローバリスト「新自由主義」の典型例で、本書でもグレタ・トゥーンベリさんが紹
介されているが、「国連の気候変動会議(COP24)」に出席するため「CO₂排出を懸念し、
飛行機のかわりにCO₂排出量がゼロのヨットを利用した」のであるが、わざわざ大西洋を
横断に15日間にわたる4800キロの旅を終えてニューヨークに到着するという「偽善に満
ちた」パフォーマンス事例(スタッフは悠々と飛行機で移動)と受け取られてもやむを得
ないことと比類する(2019年8月28日)。
(3)「帝国的生活様式への批判(その①)――「野蛮状態[右下]」本書114頁②」」
ワシントン州シアトル市の一角に「キャピトル・ヒル自治区」を発足させたと宣言がなさ
れたジョージ・フロイド事件は、黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官に暴行された
事件をきっかけに広がった抗議デモである。
その根底には、「公権力が信用できないから自治を求める」というものは、「脱成長コミ
ュニズム」のその柱(①ないし⑤)にもあてはまらない「野蛮状態」と言える。
民主主義国家アメリカでは政治家は「自分たちの代表」、警察など公務員はその配下であ
るはずで、間接的であれ「自分たちで物事を決める」ことはできているはずだけに、ショ
ッキングな出来事なのである(2020年6月11日)
(4)「帝国的生活様式への批判(その②)――「「X」=「脱成長コミュニズム」[右下]」
本書114頁④、281頁④」」
「脱成長コミュニズム」が万能でない指摘として、「安全保障の考慮」が完全に抜け落ち
ていることである。そのため、「批判」というより「緩衝」が最もうまくいっている主権
国家(中国は否認するが)―「台湾」の施策を挙げる。
台湾は中国の一帯一路(戦狼外交)がいかに辛辣かよくご存知であり、蔡英文総統の政府
の役割は「小さな政府」として「平等」性を指向しながら「権力性」の関与も低い。
ただ、近年、中国本土で働く台湾市民の数はここ数年で減少しているが、それでも台湾の
外で働く市民の就職先として最も多いのは中国であり、特に、ハイテク部門(TSMCなど)
の人材流出を阻止するための強硬手段であり、通達に違反した者には「罰金も科す」旗手
を鮮明にしている。
「脱成長コミュニズム」のため、いくら「平等」性を指向しながら「権力性」の関与も低
いとはいえ、日本という「大きな政府」の「お節介型レジ袋有料化」という「あまりにし
ょぼい」施策とは根底から異なる。パンデミック施策で台湾に劣るのも当然なのである。
―――最後に、総括しよう。
「脱成長コミュニズム」の領域内で、極めて「限定的なSDGs」というのは、結局のところ
、潤滑油(バッファ)としての役割を担う人、集合体がエッセンシャルワーカーとしての
役割を担い、「新たな中産階級」=「コモン層」として稼げる地域経済の再建を根ざして
いるにすぎない。
先にみた(1)「中共」に対する安全保障、(2)「温暖化(CO₂)は人新世の自虐性とは
『本来は』無関係」という視座が「人新世・資本論」にとって何ら寄与しないということ
を物語っている。
2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会という表面上のトレンドは、「SDGs(持続可
能な開発目標)のために人類は自然環境を守り、DX(デジタル技術による破壊的な変革)
で世界が高速ネットワークでつながる。その意味するところは何か。
特に、米ドルに対抗できる通貨としての「デジタル人民元」、石油に依存するイスラム世
界弱体化のための「脱炭素社会実現」にこそある。
気候変動を抑えるために二酸化炭素の排出を制御するというビジネスプロパガンダは、 世
界を送電網でつなぐ「スーパーグリッド」――中国が築き上げているデジタル監視インフ
ラのうち、 ①5G通信基地局、 ②海底ケーブル、③国際送電網、④低軌道衛星通信、⑤ 巨
大データセンターのすべての分野でファーウェイの関与はかなりの割合を占め、摩擦が起
きることは必然なのである。
2023年12月31日に日本でレビュー済み
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地球温暖化や環境破壊に対する各種の低減や活動を論破し、最終的にはマルクスが資本論の著作を始めたのちに取り上げた「コモン」という社会的に共有・管理されるものという概念に基づいたコミュニズムを基本として更に資本主義的な成長を排除した「脱成長コミュニズム」が最適な姿であると結論付けている。資本主義体制である限りは成長が続き温暖化は避けられずグリーン・ニューディールもSDGsキャンペーンも実現の可能性は無いと結論づけているが、石油消費量が日本では既に13.5%の削減があった(2018-2022)ことなど技術の進歩について理解が不足しているし、全員で協議さえすれば先端技術開発までできるような思い込みもあるし、事実上後進国での成長を凍結させるような非民主的な提案があるなど、多くの論理的な瑕疵が含まれている。なお、最終段になって政治、経済、環境の刷新には一般市民ではなく「国家」の力」を使うべきであるとか、「信頼と相互扶助」がこのプロジェクトの基礎となるなどと重要な気づきが示されている。実は、これらの思慮があれば、資本主義社会を適切に管理しその活力を活かす事によって、世界の多くの人達が公平に適度に豊かな生活を維持しながら、温暖化を防止する体制づくりが出来るという結論もあり得たのではないか。
2023年12月28日に日本でレビュー済み
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かつて、拡大再生産で得た利益は、発展途上国の援助に全て回すべきだと主張したことがあった。もちろん若かったので十分な説得力はなかったけれど、誰も同調はしなかった。まさにこの本はその説得力にあたる部分が述べられている。
2024年1月2日に日本でレビュー済み
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とても速く届きました。
2023年12月11日に日本でレビュー済み
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判断は、皆様にお任せします。