セットとしては、1st アルバムが入っていないのが致命的で、習作のような位置づけと考えれば仕方無いが、ファンとしてはマイク・ポートノイの在籍する10枚でまとめて欲しかった人も多いだろう。本セットの最後の10枚目 "A Dramatic Turn Of Events" はマイク離脱後のアルバムだが、ジャケットの綱渡りはグループの現実を象徴しているかのようだ。実際、”METROPOLIS PT2”で頂点を極めて以降、バンドとしてのケミストリーに隙間が生じてきていたのが、マイクの脱退で決定的になったことは否めないのではないか。
後半のアルバムも確かに初めて聴く人にとっては絶賛の対象にもなろう。が、反論を承知であえて言う。 "Images And Words" に Iron Maiden の登場と同じような衝撃的感動を味わった身にとっては、改めて新作を味わう意味がどんどん薄れていく。誰かが言ったように「プログレッシヴ」とは<音楽的>進化でなければ意味が無いのだ。まず楽曲ありき。そうでないなら、歴史的使命は尽きたと考えたほうがよい。DREAM THEATERを超えるフォロワーはついに出なかったが、彼らも自身を乗り越えることはできなかったのだ。こうして10枚を俯瞰してみるとその歴史が良く分かる。
1stとミニアルバム(A change of seasons)、マイク・ポートノイ脱退後の2枚(ここ最近の2作品)は入っていないが、その名を世界に知らしめた2ndから全盛期の作品群がまとめて手に入る。1枚あたり500円足らずのコストだし、すでに持っているファンも初心者も「買い」です。彼らがいかに良い曲を作ってきたかが分かる。個人的に音質は詳しくないですが、目に見えた改善はなく音量が整えられている程度なので音質改善を目当てに買いなおすことはお勧めしません。ケースもチープだし、歌詞カードも対訳もありません。そこだげご注意。