吉本ばななさんの本を初めて読みましたが、すごく胸を打つものがありました
絶望だったり、希望だったり、普段漫然と感じている感情をあまりにもポップに美しく軽やかに言語化されていて、感動しました
内容について
身近な人の死に直面する本著ですが、最近祖父を亡くした身として共感する箇所が多く、今手に取る意味があった一冊だったと思いました
残された者たちが各々のやり方で必死で、もがきながら、なんとか希望を取り戻していくその過程に、人間の美しさを感じました
人生の節目に何度も何度も読み返したい一冊です
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イメージ付きのレビュー
「キッチン」を通じて、ゆっくりと再び世界を信じることを学んでいく
幼いころに両親を亡くした主人公のみかげ、唯一の肉親であった祖母も他界してしまいます。大学の勉強にも身が入らず悲しみに暮れる日々を過ごす彼女ですが、ある日、同じ大学に通う田辺雄一と彼の母親のえり子から、一緒にアパートで暮らさないかと誘われました。気が進まないながらも、みかげは田辺家に身を寄せることになります。こうして即席の家族となった3人ですが、天涯孤独となったみかげだけでなく、他の2人もそれぞれ固有の悲劇を抱えていることが徐々に明らかになってきます。物語では、めいめいが抱える悲劇で日常の生活を侵食させまいという各自が悲しみ抗う様が簡潔で単純な語り口で描かれます。他方、雄一と母のえり子が経営するクラブバーで料理を担当することになったみかげ。二人ともバーの経営で多忙な生活を送っており、みかげが料理に熱中するきっかけとなったのです。キッチンに対するみかげのこだわりは前向きなエネルギーに満ちていて、悲壮感と対をなすカタルシスにもなっているのも印象的でした。”私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う”私たちは大切な誰かを失ったとき、きっとこころに空洞を穴を埋めようとするのだと思います。それでも、亡くなった人と再び見まうことはできないのだけれども、みかげは厨房の喧騒や料理作りを通じてキッチンの中に安らぎや生きがいを見出していくわけです。キッチンの暖かいまなざしの中で、ゆっくりと再び世界を信じることを学んでいくみかげを通して、私は死生観をとても揺さぶられることになりました。
他の国からのトップレビュー
Jonah Coffman
Great for Japanese extensive reading
2024年3月4日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Private Commentator
Arrives ahead of time.
2019年9月14日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Tornike Kikacheishvili
Great Quality!
2019年7月11日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Russ
Five Stars
2015年2月23日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
