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幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書 595) 新書 – 2019/8/10
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習近平体制下で、人々が政府・大企業へと個人情報・行動記録を自ら提供するなど、AI・アルゴリズムを用いた統治が進む「幸福な監視国家」への道をひた走っているかに見える中国。
セサミ・クレジットから新疆ウイグル問題まで、果たしていま何が起きているのか!?
気鋭の経済学者とジャーナリストが多角的に掘り下げる!
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2019/8/10
- ISBN-104140885955
- ISBN-13978-4140885956
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商品の説明
著者について
1976年、千葉県生まれ。ジャーナリスト。千葉大学人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。中国経済、中国企業、在日中国人社会を中心に『週刊東洋経済』『Wedge』『ニューズウィーク日本版』『NewsPicks』などのメディアに寄稿している。ニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか』(祥伝社新書)、『現代中国経営者列伝』(星海社新書)、編著に『中国S級B級論』(さくら舎)など。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2019/8/10)
- 発売日 : 2019/8/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4140885955
- ISBN-13 : 978-4140885956
- Amazon 売れ筋ランキング: - 119,622位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 76位NHK出版新書
- - 5,593位楽譜・スコア・音楽書 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
1970年大阪府出身。戌年、牡牛座。神戸大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。現在、神戸大学大学院経済学研究科教授。専門は現代中国経済論。
ウェブサイト:http://www2.kobe-u.ac.jp/~kaikaji/
ブログ「梶ピエールのブログ」http://kaikaji.hatenablog.com/
高口康太。
フリージャーナリスト、翻訳家。1976年、千葉県生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。二度の中国留学経験を持ち、中国をフィールドの中心に『月刊文藝春秋』『Wedge』『ニューズウィーク日本版』「Newspicks」などの雑誌・ウェブメディアに、政治・経済・社会・文化など幅広い分野で寄稿している。座右の銘は「実事求是」。中国の現実から感じた自らの驚きを、そのまま読者に伝えることを目指している。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『中国コロナ封じの虚実』(中公新書ラクレ)『現代中国経営者列伝』(星海社)『幸福な監視国家・中国』(NHK出版、梶谷懐氏との共著)など多数。ツイッターは@kinbricksnow
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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1、ソフトな抑圧政策が効果的。 2、経済活動は日本より自由度が高い 3、腐敗清朝政府からの、脱却が社会全体で少しづつ進んでいる。4、乱雑、無秩序とみられていた社会が、日本のように行儀よい社会に移行しつつある。ということかと。
中国人は、日本に<礼儀正しく、お行儀のよい中国>を見つけて、観光リピーターになるのだろう。
その数もさることながら、横断歩道にまで設置され、赤信号で渡った者を晒しているのには驚きました。
電子決済も日本とは比較にならない位に進んでいます(販売者としては、売上を誤魔化せない)。
何故こんなにも監視を受け入れている(受け入れざるを得ないのでしょうが)のか不思議で本書を手に取りました。
誘拐等の犯罪が多く小学生が一人で登校するなんて有り得ない治安、という前提があること。
中国人だってプライバシーは守りたいが、便利さを享受できるなら、ある程度個人情報を提供するのもやぶさかでないと感じる者が多いこと。
故に、ますます監視は増強され、利便性は向上していくのだろうと思いました。
クライマックスは第5章以降。第1~4章は単なる中国の現状の整理。
整理の部分もコンパクトに読めるので「功利主義的」な価値はあるが
この本のオリジナリティは、あえて困難な論点に踏み込んでいる第5章以降にある。
統治システム一般の動物的側面、サイバネティックスの側面、人道主義的側面の3つを
中国の政治体制をネタに気持ちいいくらいスッキリ整理している。
ひとつだけ残念なのは、一神教の論点がまったく出てこないこと。
「市民的公共性」や功利主義が一神教をベースに生まれていて
かつイスラム教が、ユダヤ教・キリスト教と教典を共有する一神教だからこそ
中国の「天理」による統治と対立するという社会学的議論が出てこない。
「市民的公共性」を支える「メタ合理性」が、じつは絶対的な非合理性(=神)に
裏付けられていることが、中国にとっても、日本にとっても躓きの石になっている
という論点があれば、その欧米でさえ今や「市民的公共性」が崩れつつあることを
もう少し説得的に書けたはず。
いずれにせよ、今まで読んだ現代中国本のなかでは、最高のクオリティ。
この本を読んでおかないと、「中国のイノベーションすごい!」という中国賛美や
その逆の感情的な反中論にかんたんに呑み込まれてしまうと思う。
とくに中国イノベーション賛美に対して、この本は根本的なところで釘を刺せている。
例えば、第5章では、次の本は引用や言及がされますが、巻末の「主な参考文献」には出てきません。
寺田浩明『中国法制史』東京大学出版会、2018年
溝口雄三『中国の公と私』研文出版、1995年
本文で典拠が示されているからよいと考えることもできますが、本文では、「主な参考文献」とは異なり、文献の出版社や出版年が示されませんので、やはり不足があると見るべきでしょう。
■第6章が重要…アルゴリズム統治の正当性を規制する「メタ合理性ベースのシステム」をいかに機能させるかが課題です。
■中国を事例に取りながらも日本ならびに西側諸国でも起こり得る将来を考えるための書籍です。途中、アルゴリズム統治は儒教統治とも相性がよいという記述がありショックであった。もともと江戸時代から朱子学的な名残が残る日本では十分にアルゴリズム統治が起こり得る土壌があるのではと思わされました。
個人的には非常に読みやすく、具体例も十分、背景知識もしっかりと説明していただいているのでとても勉強になりました。
第2~4章はジャーナリストである高口が執筆していてルポと言えよう。だが、それ以外の、梶谷執筆部分は、「より便利に、より快適になることを功利主義的に追求してきた」中国社会をいわば題材にして、「市民社会的基盤や公共性、あるいは社会統治のあり方といったもの(p.236)」について論じており、その射程には、監視技術やAIなどのテクノロジーが急速に進歩するすべての国家・社会が含まれる。つまり、「全世界で急速に進みつつある新しいタイプの『監視社会化』の流れ(p.29)」の中では、中国は、先端的でこそあれ、特殊ではないというのが梶谷のスタンスである。
そのような内容ゆえ、本書は社会哲学の書であり、技術と社会、技術と人間の関係を問う書であり、中国論とは言い難い。
著者の議論は、図「2つの合理性と公共性(p.185)」に集約されているように思われる。
著者の見解はとても刺激的だが、中国の政治体制の特殊性(日本などとの相違)をいささか過小評価しているようにも思えた。