フランス文学の重要な作家らしいとは知っていても、私にとってモーパッサンといえば傑作透明怪談『オルラ』の作者という認識。
それが表題作になっていたので、他にも怪奇幻想系が入っていたりするのかなと買ってみました。
結果的には超自然的な話はオルラだけで、その他の7つの短編は基本的に男女関係を扱ったものでしたが。
とはいっても、ユーモラスなもの、複雑ながらハッピーエンドを迎えるもの、悲劇に終わるものと展開は様々。
なかでもオルラ以外で特に気に入ったのは『あだ花』です。
男性に従い続けるだけではない新しい女性を通して、出産は強制される苦痛であるというテーマが語られ、それが第三者視点で神学・文明論にまで拡張されていくのが素晴らしい。
この男女というテーマを突きつめて現代よりにするとああなるのかなと、読んでいてマイケル・ブラムライン『ラットの脳』が思い起こされもする短編でした。
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オルラ/オリーヴ園~モーパッサン傑作選~ (光文社古典新訳文庫) Kindle版
部屋の中に目に見えない何かがいる……。妄想と狂気に呑み込まれていく男の日記「オルラ」。若き日の苦い思い出を浄化し、穏やかに過ごす老司祭のもとに、ある日、みすぼらしい身なりの若者が訪ねて来る。人生を揺さぶる直視し難い過去との対峙を描く「オリーヴ園」など、病魔に冒され、寡作になりつつある後期の作品のなかから8篇をセレクト。素材・テーマともに厳選されたからこそ顕出したモーパッサンの真髄がここにある。
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商品の説明
著者について
モーパッサン,ギィ・ド 1850‐1893。1850年ノルマンディ生まれ。パリ大学在学中に普仏戦争に遊撃隊員として従軍。戦場での苛烈な体験が、のちの厭世的な作風に大きな影響を与えたといわれる。その後海軍省に勤務。母の紹介でフローベールと知り合い、作品指導を受ける。30歳の時に発表した「脂肪の塊」が絶賛され、作家専業となり、33歳の時に発表した『女の一生』はベストセラーになった。旺盛な著作活動を続けたが神経系の発作に襲われ、苦痛から逃れるために薬物に溺れた末、自殺未遂事件を起こしパリの精神科病院にて死去 太田/浩一 フランス文学翻訳家。中央大学兼任講師。訳書に『感情教育』『三つの物語』(ともにフローベール)、『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』『宝石/遺産』『ロックの娘』(以上モーパッサン)、『ルルージュ事件』(ガボリオ)、『ミステリ文学』(ヴァノンシニ)などがある。
登録情報
- ASIN : B08WWNWQT1
- 出版社 : 光文社 (2021/2/26)
- 発売日 : 2021/2/26
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 13090 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 253ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 31,560位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 13位フランスの小説・文芸
- - 36位フランス文学 (本)
- - 134位光文社古典新訳文庫
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