六明会傘下にある早田組の組員である坂本純平。
21歳の彼がヤクザとして、
新宿・歌舞伎町を駆け抜ける様を描いた物語です。
読後は、さびしいというか。
結構考えさせられる側面ももった本でした。
ページをめくる手をとめられなかった、
という意味でとても面白かったです。
次はどうなるんだろう。
純平の言動が気になるし、
周囲が純平をどう扱うのかも気になりました。
私は文字通り寝る間を惜しんで読んだため、
3日間を描いた作品のスピード感も十二分に味わえました。
西へ東へ動き回る純平の3日間を、疑似体験した気もします。
本書の装画も素晴らしいと思います。
先入観を持って読みすすめるのではないかと、
想像力が縛られる閉塞感を抱きながら読みすすめましたが、
私には表紙の人物が坂本純平でした。
文句なし。
なかなか、的を得た表紙とも思います。
タイトルは抜群と思いました。
表紙とタイトルを見ただけで、どんな本か想像を膨らませられる。
それでいて、殺人シーンがいっぱいでてくるような本じゃないことも、
うまく表紙の雰囲気に出ていると思いました。
そういう意味では、単行本としての成熟度が高いなって。
そんな感想も持ちます。
登場人物では、北島という、純平の兄貴分がまた粋で、
言動がいちいち格好良く、
良くも悪くも熱い純平を任侠に陶酔させます。
兄弟分の信也が純平の自尊心を満足させるシーンなど、
読者の私も一緒に面映かったです。
変わり者のジイさんも、
最後にはなかなか含蓄のあるセリフを残しますし、
トラック野郎一番星のコメントは探しました。
遅い夏休み、平日に取れた急な休み、久しぶりのロングバケーション等。
短い期間(できれば3日以内)で本書を読むことをオススメします。
物語のスピード感を味わえるし、
人生が急転したことに戸惑う21歳の若者の心境も、
垣間見えると思いますので。
純平のエンディングとしてはアリかもしれないけど、
本書のエンディングについては、個人的に満足していないので、
僭越ながら★の数は4つ。
ただそれを差し引いても、充分に人へは勧められます。
文庫化を待たずに。
純平、考え直せ
オススメです。
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純平、考え直せ (光文社文庫 お 36-3) 文庫 – 2013/12/5
奥田英朗
(著)
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- 本の長さ305ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2013/12/5
- ISBN-104334766625
- ISBN-13978-4334766627
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2013/12/5)
- 発売日 : 2013/12/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 305ページ
- ISBN-10 : 4334766625
- ISBN-13 : 978-4334766627
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- - 885位光文社文庫
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著者について
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1959年、岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て作家活動に入る。2002年『邪魔』で大藪春彦賞、04年『空中ブランコ』で直木賞、07年『家日和』で柴田錬三郎賞、09年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 無理 (ISBN-13: 978-4163285801 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
イメージ付きのレビュー
3 星
やくざ稼業の切なさ
下っ端やくざが対立する組の人間を殺傷するまでの数日間を描いた作品。孤独な稼業と割り切っていたもののいざ拳銃を手にし実行計画を進める中、組のもの、故郷の愚連隊、息子を捨てた母親など多くの人との交流が実現する。ネットを通して多くのフォローが寄せられ賛否両論に炎上する。決して陰湿な展開ではなくさらっとしたやくざ人生を垣間見る。一般文学通算2664作品目の感想。2022/07/14 15:40
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2011年8月22日に日本でレビュー済み
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2018年8月19日に日本でレビュー済み
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魅力的なキャラクター達が、読んでいて楽しい物語。でも、ストーリーはちょっと物足りない。もっと色々楽しい展開が欲しかった。惜しい。
2018年9月10日に日本でレビュー済み
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軽く、さくっと読めました。「だからどうしたいの??」と聞きたくなる話でしたが、若いってことは、訳のわからない熱さなんだと納得もしました。
2022年8月6日に日本でレビュー済み
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テンポ良くストーリーが進むし、奥田作品の軽妙な展開は気持ちが良い。ただし、読む順番が悪かった。オリンピックの身代金の後に読むものではないな。
2017年8月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「純平、考え直せ」のどこが面白いかと言うと、やくざが新宿の「伊勢丹メンズ館8階のカフェ」でお茶したり、親に捨てられた純平が、入ったスナックのポスターが「大人はわかってくれない」(トリュフォー監督の映画)だったり、純平に死体の写真をアップするよう言ったやつのハンドルネームがネクロフェリアーノ(死体愛好者)だったり、子どもの様な思考回路の不良老人より荒波に揉まれた純平の方がはるかに大人だったり、吹き出す場面満載です。
しかし、そんな笑ってばかりの可笑しさだけではない。チンピラやくざだが、なぜか憎めない純平。彼の生い立ちや、彼を囲む歌舞伎町界隈の人々の人間関係に心動かされて、いつか純平を応援したくなる。
読みやすい文だけれど、それだけでない、一気に読ませる奥田英朗さんの作家としての力量はやはり凄い。これをただ「面白い」作品として評価していいものか。それだけではないでしょう。星4つにしてありますが、実は☆☆☆☆★。読んでよかった。
この本はじわじわと良さが滲みてきます。
なぜ、この本が魅力的かと言うと、純平の魅力に尽きるのではないでしょうか。それは何か?
純平の生き様です。彼は子どもの頃に悲惨な体験をします。それは、子どもにとっては最悪とも言うべき状況です。そこで彼は、歯を食いしばりながら堪えます。そして、自分の強さを自覚するのです。けれど、これは強さというより「諦め」に近いものなのです。「最悪の経験をしたので、これ以上最悪の状況はないだろう」という様な強さです。その諦めは、恋愛にも表れます。
それが、読み手が彼に感情を移入させる要因です。
彼のその奥床しさ。不器用とも取れる生き方が、魅力的なのです。だから、最後に余韻が残る。これで5つ☆でないのは不思議なのですが、奥田英朗作品にはそういう所がありますね。黒澤明作品には満点つけても、伊丹十三作品はどんなに面白くても満点がとれない様な‥‥。でもこれはこれで存在価値が高いです。
しかし、そんな笑ってばかりの可笑しさだけではない。チンピラやくざだが、なぜか憎めない純平。彼の生い立ちや、彼を囲む歌舞伎町界隈の人々の人間関係に心動かされて、いつか純平を応援したくなる。
読みやすい文だけれど、それだけでない、一気に読ませる奥田英朗さんの作家としての力量はやはり凄い。これをただ「面白い」作品として評価していいものか。それだけではないでしょう。星4つにしてありますが、実は☆☆☆☆★。読んでよかった。
この本はじわじわと良さが滲みてきます。
なぜ、この本が魅力的かと言うと、純平の魅力に尽きるのではないでしょうか。それは何か?
純平の生き様です。彼は子どもの頃に悲惨な体験をします。それは、子どもにとっては最悪とも言うべき状況です。そこで彼は、歯を食いしばりながら堪えます。そして、自分の強さを自覚するのです。けれど、これは強さというより「諦め」に近いものなのです。「最悪の経験をしたので、これ以上最悪の状況はないだろう」という様な強さです。その諦めは、恋愛にも表れます。
それが、読み手が彼に感情を移入させる要因です。
彼のその奥床しさ。不器用とも取れる生き方が、魅力的なのです。だから、最後に余韻が残る。これで5つ☆でないのは不思議なのですが、奥田英朗作品にはそういう所がありますね。黒澤明作品には満点つけても、伊丹十三作品はどんなに面白くても満点がとれない様な‥‥。でもこれはこれで存在価値が高いです。
2014年5月8日に日本でレビュー済み
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名前のとおり純粋なチンピラの葛藤が楽しめる本ですらすら読めます。
ラストは結末が中途半端でしたがこの本は結末を望む内容の本ではないので通勤電車の中で読むには最適です。
ラストは結末が中途半端でしたがこの本は結末を望む内容の本ではないので通勤電車の中で読むには最適です。
2016年3月5日に日本でレビュー済み
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純平という22歳の新宿歌舞伎町を縄張りにするやくざの組員が、親分に鉄砲玉を命じられたあとに過ごした何日かを描いた作品です。
主人公が、無理をして粋がっている姿がどこか憎めず、魅力的なキャラクターに仕上がっていると思います。
最後がやや中途半端な終わり方のようにも感じましたが、面白かったです。
続編が読みたくなるような作品でした。
主人公が、無理をして粋がっている姿がどこか憎めず、魅力的なキャラクターに仕上がっていると思います。
最後がやや中途半端な終わり方のようにも感じましたが、面白かったです。
続編が読みたくなるような作品でした。
2016年11月20日に日本でレビュー済み
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刑務所を出た後は歌舞伎町で生きていくんだろうな。
刑期を終えた純平の物語も読んでみたい。
刑期を終えた純平の物語も読んでみたい。