本書は政治家ならば経済のことをこのぐらいは知っておいてほしい、と思って書かれた内容だそうです。
個人と会社では経済的感覚が異なる。まして国の経済に個人の感覚を持ち込むと、碌な事はない。（財務省は）そんなことは十分承知で「個人の感覚」に訴えて来るので国民は注意して頂きたい。
財務省が「国債は国民の借金だから、増税する」との理論は大きな誤りで、国債は政府の借金であり、政府の借金＝国民の債券である。
「政治が経済に出来るたった一つの事は、民間の邪魔をしないこと。民間が経済活動をしやすい環境をつくることだけ」＝著者の提言（これはアダム・スミスの意見）。
今のような不況の時は政府は少しばかり民間の後押しをしてもよい＝ケインズの主張。
経済学を突き詰めると、アダム・スミスの考えが基本で、不況時はケインズのアイデアを使えば良い、このことに収斂する、とは著者の基本概念です。
ケインズの主張が成功した例は巨額の財政出動をしたナチス・ドイツの経済政策で、アウトバーン建設やフォルクスワーゲン計画で景気はよくなり、一定の成功を納めたケースが有名である。
マルクスの理論は：人類は原始共産制－＞古代奴隷制－＞封建社会－＞資本主義社会－＞共産主義社会、と発展する、という理論であるが、1991年のソ連の崩壊で、その誤りが証明された。
著者がマルクス主義を一言でまとめると：世界中の政府を暴力革命で転覆し、地球上の金持ちを皆殺しにすれば、全人類は幸せになる、、、だそうです。そしてマルクス主義は資本主義の矛盾を徹底的につくという点のみに優れた思想で、経済学とは呼べない、と述べます。
戦後の日本で経済政策がうまく機能していた池田勇人・佐藤栄作首相時代の大蔵省は「我々は積極財政だ！ 日銀みたいな消極財政に成ってはいけない」が合い言葉だったそうです。
いまの財務省の財政方針は個人家庭の会計と同じでPrimary Balanceの黒字化（＝収支決算の黒字）ですから、この30年日本だけがGDPは全く停滞しました。
政治家は最低現の経済知識を持って、日本の経済政策に真面目に関わって頂きたいと思います。同時に国民は経済能力を持つ政治家を選ばねばなりません。
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| 発売日 | 2021年12月02日 | 2022年06月02日 | 2021年11月16日 | 2020年11月12日 | 2019年11月15日 | 2018年10月15日 |
| 判型 | 文庫判 | 文庫判 | 新書判 | 新書判 | 新書判 | 新書判 |
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