美しい架構と間取りの合致こそ建築にとって最も重要であるという考え方のもとに、丁寧で美しい作品をつくり続けている著者の古民家への深い愛情が詰まった本である。
古民家の再生について、みかた、みせかた、なおしかたの段階に分けて丁寧な解説を展開している。住まいとは？古民家とは？からはじまり、実測の仕方なども含めて、見ることの大切さを解いている。みせかたでは、古民家の再生で最も大切なのは、建物の基本となる骨組みを把握し、伝統構法の利点を理解し、素材の性能を生かすことであるとし、そのための６つのツボについて紹介している。なおしかたについては、日本家屋の弱点とされてきた、「暗い」、「寒い」という課題を、日本建築そのものに本質的に備わっている良さを損なわないで解決する構造解析技術、温熱性能技術について、具体的に解説してくれている。
わかりやすく描かれた柔らかい手描きのスケッチと簡潔な文章は、古民家改修・再生のノウハウにとどまらず、日本の住まいの本質について考える哲学書でもあると思う。
初心者からプロまで、建築することに希望を感じることができる絵本である。
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