病的な「giver」としての誓い――、偽善や下心ではなく、純粋に相手に理解してもらおうとす
るなら、そう「相手のあるがままの想い、理解」を汲み取ることだ。 もし、「核心」を突くこ
とができたならば、聴いているほうは、文字通り「言葉を失う」。 そうなれば、「伝え方の魔
術」は完成形を看たといえる。
逆に、もし、あなたが「taker」であるとすると、結局のところ「lose－lose」の関係しか築け
ず、美辞麗句を並び立てる政治家に対するかのような不信が芽生える。
さて、ここで一例を俯瞰してみよう。 かつて、サンプソン（後の「リンカーン」）とトランブ
ルとは、 「奴隷制の廃止」という共通の志があったからこそ、 「give and take」の下に、リ
ンカーンを大統領に押し上げたのである（同著者「潜在意識活用講座（幻冬舎）」（2019年4
月19日第1版初出163頁参照）。
では、具体的にどういうことか。要点でいえば、暫定1位にあった「サンプソン」が人気のある
悪辣な「マットソン」の立候補によって逆転の窮地に陥ったときに、 「サンプソン」自らは、
立候補を辞退して3位の「トランブル」に協力し、イリノイ州の上院選勝利に貢献したのである
――。 この例にみるように、病的な「giver」であったからこそ、「win－win」のパラダイム
の関係が見てとれるのである。
また、「giver」として成功するには、 一つは、「スライド作りを含め骨子をまとめるのに3時
間」のルーティンを毎日行いながら、及川氏のように「習慣化」ができれば理想である。
さらに、 もう一つ、情報源の大海原から氷山の一角を切り出し、その鮮度とともに「切り口か
ら深掘りできるものは何か」を、自らのアイデンティティーを下地にして、ビジョンを「明瞭」
に打ち立てることも大事である。
最近、「明瞭」に嬉しいことがある――。それは、「電波利権報道」を見限り、2020年の大統
領選の帰趨を真剣に追い、「情報をみる目」が気鋭となる「日本国民」が増えたことだ。
確かに、 日本の安全保障の危機に「直接に」左右する危機として、アイデンティティーの「共
生（win－win）」が芽生えたこと――何より、及川氏との「国際情勢を語るyou-tuber」との
「マッチング」の下地があったことが大きい。
その一方で、今回の2020年の大統領選では、保守の論客としての「底地」が「明瞭」になった
ことも特徴である。 「トランプが敗北宣言を出さない」ことで、一次情報が何であるのか、デ
マが飛び交い、ノイズ情報が錯綜するところで、あらゆる可能性が検討される中で「専門家が
専門家としての伝道『士』たり得ない」のだ。
しかも、そこで浮き彫りとなったこと――、本当に大事な「win－win」のパラダイムを厳かに
すると、どういうことが起きるか。
一例の保守の論客で言うと、 何と！「ネガティブ」な思考によって投資で一財を立てる才覚が
あるものの、 次元を違えて選挙戦の論評では「ポジティブ」になる必要があったのに「拙い保
身」に走った者が特に際立った。
その結果、 齟齬を外したと見られ、 情報の受け手から「win－lose」の関係に陥って論客とし
ての信頼を失ったのである。
即ち、今回の選挙戦で気鋭のある国民が見ていたのは、選挙の勝敗の帰趨が当たったとか、外
れたとかでなく、ましてや「バイデン政権誕生」の「If」を早期に想定することでもなく、
「熱量を込めてトランプを応援しなければ民主主義が崩壊する。選挙の制度の公平がこうも脆
く崩壊してよいものかと危機意識をもって語ることができたか」にこそある――、つまり、ひ
と言えば、「論客は『ポンペオ』であるべきであり、民主主義の盾として極限の時点まで敷居
を高める努力をしたか」にある。そうなれば、その効果は、後に「ピュアスピリッツ」となっ
て「与えられる」のである。
さて、およそ「三段論法」のロジカルシンキングが成り立たないとき、陰謀論が浮上する。
だが、一次情報の裏付けをするにも、国家機密や、「毒樹の果実に近い秘密の暴露」といった
裏打ちがとれず、「後件肯定」が不幸にも決め手となることもある。
（なお、「後件肯定」について、デヴィッド・ロバート・グライムス著「まどわされない思考
非論理的な社会を批判的思考で生き抜くために The Irrational Ape(角川書店単行本)」が
お勧め）
そこでは、「既成事実化」と「不正」の間の「グレーゾーンが大鉈を振った」からこそ、その
問題点が「明瞭」になったとも言えるのである――。これが「病的な」と言われる所以なので
あるが、「だから」と言って否定される類いではない。
そうすると、「これはもう！」、トランプが好きだとか、嫌いとかの次元ではない！――つま
り、心を開いたコミュニケーションができるか否か、シナジーが心を湧き立たせるか、「病的」
な「giver」＝「困難ときこそ『知的正直さ』につき従う者」こそ、評価されるのである。
例え、根っこの部分で性善説だとしても、政治、ビジネスには利権が絡む以上は、情報源に向
き合ったときに「合理的疑いを容れるか」どうかの視点で、どんどん突き進んでいくことも肝
要である。
無論、作為ある悪意ある情報発信は嫌煙されなければならないが、無意識に、あるいは都合の
よい情報を創る、「よい意味」でのプロパガンダの発信が「効を奏する」場合も多々ある。
さらに、今回の大統領選を通じて、自分の目で積極的に情報を取りに行く「トレーニング」と
なってしまった点も大きく、「giver」が「giver」を生み出す現象まで起きた。
そうなると、「再新再生のシナジー」となって、 政局に影響を及ぼす、「一人一人」の力が
「集」の力（元気玉）となってボトムアップする。
そのことは、少なからず「世迷い言に浸る偽善（＝フィクション）」に溺れていた者さえも、
その「臨界点」から「お花畑思考からの覚醒（＝リアル）」へと救済に導かれるのである。
私たちのパラダイムとは、いったい何か――、 それは、私たちが生きる領域を示す地図は、
「良心」をよく鍛え、より高い次元で「学び、決意し、実行する」こと――つまり、「集める
・見抜く・表現する」上向きの螺旋階段を登るごとく「刃を研ぐ」段階にいたることではない
か。
さて、まとめに入ろう。 本書は、見立てによっては、2020年の大統領選「風」に言えば、
「トランプ・ポピュリズム」の凝縮形である――。経済ナショナリズムの恩恵は、米国内でも
4年間で岩盤の1100万の支持者が増えたというファクトがある。民主党のもともとの支持者で
あったはずの黒人とヒスパニック票が伸び、「雇用」を増やしたことである。
結果を残してきた「トランプ」だからこそ説得力を持つ。しかも、「アメリカ」に対する「愛
情」には、なぜかガンマンのテキサス魂が通い、心の通じるところがある。「古きアメリカ」
（草の根）の息吹を感じ、心地よい。
米国連邦の分断には、「共産主義」が人間の手に負えない「理想物」となっている。錯覚に陥
れば、いつまでも悪夢の「ファンタジー」に取り憑かれる。
仮に、運良くその夢から覚めてみれば、その実態は「新資本主義の添加物」にすぎないと気が
つくはず。だとしたら、その上で何を「伝える」のか。
無論、主権国家において何より大事なこと――それは、自国に「愛情」（パッション）を傾け
ることによる、国民一人一人の自然発生的「至福」が希求される。
そうであれば、「人に与えることで、後で大きく与えられる」という、万国共通の法則をあま
ねく広めるのも良いのではないか。
一見するとトートロジーであるが、「複雑性」の中から「普遍性」を――、皆が「いかに伝導
させるか」の「伝え“方”」の追求をするなら、人類の「運命の天秤」も好転するはずだ。まさ
に、及川氏の本書は、“それ”を「核心」を突いて訴えているのだ。そんなニュアンスを汲み取
って欲しい。
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