発売となった1949年以降、まさに時が来たという1984年のブームを過ぎて、2017年には米大統領戦の後にアマゾンのベストセラー入りするなど、発売以来世界から注目が消えてしまうことがなかった『一九八四年』。暗く重く救いがなく、読むには辛い小説でありながら、それほどまでに人を惹きつけずにはおかなかったこの小説を、制作過程からもふんだんに語ってくれるのが本書である。ジョージ・オーウェルというひとりの人間が、構想し、具体化していくプロセスを踏んでいたのだと、当たり前ではあるがその世界に触れられることは嬉しい体験だった。またその世界観を支える文体である「英語」そのものへのオーウェルの確固たるスタンスがある一方、長い執筆の間において人種における彼自身の考え方にも変化がある、という、人間の揺らぎを知ることもできるのも興味深い。
読みどころは多くあるが、本書の特徴として「読みやすさ」を挙げたい。文学論というものは、作家がこらした「技法や工夫」を研究者が紐解くものであり、創作のヒントがたくさん詰まった宝物のようなものだ、とつねづね思うが、なにせ読みにくいゆえになかなか手が出ないジャンルでもある。本書は本格的な研究書でありながら、専門用語に絡め取られて読めないということがない。そういう点で、本書は作家さんにお勧めしたい。『一九八四年』そのものが映画、舞台、ラジオドラマとしてリメイクされるだけでなく、多くの作家によって、その世界を踏まえた新たな作品が生み出されてきている。『一九八四年』から学べることはまだまだ多いのである。
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オーウェル『一九八四年』 :ディストピアを生き抜くために (世界を読み解く一冊の本) 単行本 – 2022/4/16
川端 康雄
(著)
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▼希望はある、愛と大地と人びとのなかに
全体主義国家によって分割統治された近未来世界を描く、
世界的ベストセラー『一九八四年』。
ビッグ・ブラザーが支配する徹底した監視・管理社会で、
独り闘争をしかける、
我らが主人公、ウィンストン・スミス。
「ポスト真実」の時代を先取りしたディストピアに、
希望はあるのか。
【目次】
序
I 『一九八四年』はどのようにして書かれたのか
1 ジュラ島のオーウェル
2 『ヨーロッパで最後の人間」(仮題)の構想と執筆
BBC勤務
『動物農場』執筆と『トリビューン』紙の編集
創作ノート「ヨーロッパで最後の人間」
『一九八四年』の執筆と病気
3 『一九八四年』の刊行と出版直後の評価
米国版の修正要求への拒否
出版直後の評価――冷戦初期の受容
日本における『一九八四年』の初期の受容
II 何を書いたのか
1 「窮乏の時代」とオセアニア国の表象
「近接性」――「しょぼい」ロンドン
「異質性」――時計の「一三時」と「一メートル」のポスター
パブで「半リットル」のビール
「アメリカ化」したロンドン
三つの超大国
オセアニア国の「階層」
ウィンストン・スミスのロンドン彷徨
「汚れた風景」にそびえる巨大ピラミッド
2 「ライター」、そして「X」と「Y」――ウィンストンとジュリアの愛、同志オブライエンの奇妙な愛情
オセアニア国で「愛する」ということ――ジュリアの場合
オブライエンとの「親密」な関係
女性の表象、セクシュアリティの問題
3 春と独裁
「ゆるい」エッセイ群
ウィンストン・スミスの春
〈黄金郷〉
「愛にふさわしい場所」
隠れ家とガラスのぺーパーウェイト
4 「ニュースピーク」の効用
新聞記事の改竄・捏造
「ニュースピークの諸原理」
「ニュースピーク」と「ベイシック英語」
「政治と英語」(一九四六年)
5 ユダヤ人表象の問題
「英国における反ユダヤ主義」(一九四五年)
難民船の原像
難民船のユダヤ人母子
愛情省と絶滅収容所
水底の母子
6 プロールに希望はあるか
プロールは蔑称か
プロールの「意識のなさ」
レイモンド・ウィリアムズのオーウェル批判
プロールへの希望
III 人の生をいかに捉えたのか
1 「権力の司祭」の信仰
オブライエンの「疲労」
「ナショナリズム覚え書き」(一九四五年)
「個人の不滅への信仰」の衰退
〈党〉への没入と自己滅却
2 「人間らしさ」と「人間性」(そして「動物性」)
「人間」の種族の絶滅
動物の比喩形象
人権擁護の国際連携の試み
「人間性」のあやうさ、そして「人間らしさ」への信
3 「嘘」の暴露と美的経験
コロナ禍のなかの「オーウェル」
「オーウェル」の汎用性の問題
「政治的著作」と「芸術」の融合
一九三六年の植樹
注
あとがき
全体主義国家によって分割統治された近未来世界を描く、
世界的ベストセラー『一九八四年』。
ビッグ・ブラザーが支配する徹底した監視・管理社会で、
独り闘争をしかける、
我らが主人公、ウィンストン・スミス。
「ポスト真実」の時代を先取りしたディストピアに、
希望はあるのか。
【目次】
序
I 『一九八四年』はどのようにして書かれたのか
1 ジュラ島のオーウェル
2 『ヨーロッパで最後の人間」(仮題)の構想と執筆
BBC勤務
『動物農場』執筆と『トリビューン』紙の編集
創作ノート「ヨーロッパで最後の人間」
『一九八四年』の執筆と病気
3 『一九八四年』の刊行と出版直後の評価
米国版の修正要求への拒否
出版直後の評価――冷戦初期の受容
日本における『一九八四年』の初期の受容
II 何を書いたのか
1 「窮乏の時代」とオセアニア国の表象
「近接性」――「しょぼい」ロンドン
「異質性」――時計の「一三時」と「一メートル」のポスター
パブで「半リットル」のビール
「アメリカ化」したロンドン
三つの超大国
オセアニア国の「階層」
ウィンストン・スミスのロンドン彷徨
「汚れた風景」にそびえる巨大ピラミッド
2 「ライター」、そして「X」と「Y」――ウィンストンとジュリアの愛、同志オブライエンの奇妙な愛情
オセアニア国で「愛する」ということ――ジュリアの場合
オブライエンとの「親密」な関係
女性の表象、セクシュアリティの問題
3 春と独裁
「ゆるい」エッセイ群
ウィンストン・スミスの春
〈黄金郷〉
「愛にふさわしい場所」
隠れ家とガラスのぺーパーウェイト
4 「ニュースピーク」の効用
新聞記事の改竄・捏造
「ニュースピークの諸原理」
「ニュースピーク」と「ベイシック英語」
「政治と英語」(一九四六年)
5 ユダヤ人表象の問題
「英国における反ユダヤ主義」(一九四五年)
難民船の原像
難民船のユダヤ人母子
愛情省と絶滅収容所
水底の母子
6 プロールに希望はあるか
プロールは蔑称か
プロールの「意識のなさ」
レイモンド・ウィリアムズのオーウェル批判
プロールへの希望
III 人の生をいかに捉えたのか
1 「権力の司祭」の信仰
オブライエンの「疲労」
「ナショナリズム覚え書き」(一九四五年)
「個人の不滅への信仰」の衰退
〈党〉への没入と自己滅却
2 「人間らしさ」と「人間性」(そして「動物性」)
「人間」の種族の絶滅
動物の比喩形象
人権擁護の国際連携の試み
「人間性」のあやうさ、そして「人間らしさ」への信
3 「嘘」の暴露と美的経験
コロナ禍のなかの「オーウェル」
「オーウェル」の汎用性の問題
「政治的著作」と「芸術」の融合
一九三六年の植樹
注
あとがき
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社慶應義塾大学出版会
- 発売日2022/4/16
- 寸法13.8 x 2.3 x 19.5 cm
- ISBN-10476642557X
- ISBN-13978-4766425574
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内容紹介 | 全体主義国家によって分割統治された近未来世界を描く、世界的ベストセラー『一九八四年』。ビッグ・ブラザーが支配する徹底した監視・管理社会を描き、「ポスト真実」の時代を先取りしたディストピアに希望はあるのか。 | 国語学者・大槻文彦が、明治期に編纂した日本初の近代的国語辞典『言海』。大槻は 『言海』を通して、世界をどのように切り分けようとしたのか。辞書が社会的に果たした役割とともに描き出す。 | 極めて難解とされるイスラームの聖典『クルアーン』。ではどう読めばよいのか? 聖典を読む困難と楽しさを、丁寧に解説。信徒のみならず、人類にとっての「聖典」となる可能性を問う。 | 映画やマンガにリメイクされつづける『西遊記』は子ども向けの本ではない? 長大な物語のあらすじを追いながら、中国の誇る〈神怪小説〉のなりたちと伝播を、妖怪たちの目線から語りつくす。 | 革命神話と啓蒙神話に由来する紋切り型のイメージから離れて、ディドロとダランベールが構想した百科事典という原点に立ち戻ってみよう。『百科全書』の書物としての成り立ちをたどり、その広大無辺な知識への道案内をする。 |
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商品の説明
著者について
川端 康雄(かわばた やすお)
日本女子大学文学部教授。英文学専攻。明治大学大学院文学研究科博士後期課程退学。主な著書に『増補 オーウェルのマザー・グース――歌の力、語りの力』(岩波現代文庫、2021年)、『ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌』(岩波新書、2020年)、『葉蘭をめぐる冒険――イギリス文化・文学論』(みすず書房、2013年)、『ジョージ・ベストがいた――マンチェスター・ユナイテッドの伝説』(平凡社新書、2010年)、主な訳書に、オーウェル『動物農場――おとぎばなし』(岩波文庫、2009年)、『オーウェル評論集』(編、共訳、平凡社ライブラリー)などがある。
日本女子大学文学部教授。英文学専攻。明治大学大学院文学研究科博士後期課程退学。主な著書に『増補 オーウェルのマザー・グース――歌の力、語りの力』(岩波現代文庫、2021年)、『ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌』(岩波新書、2020年)、『葉蘭をめぐる冒険――イギリス文化・文学論』(みすず書房、2013年)、『ジョージ・ベストがいた――マンチェスター・ユナイテッドの伝説』(平凡社新書、2010年)、主な訳書に、オーウェル『動物農場――おとぎばなし』(岩波文庫、2009年)、『オーウェル評論集』(編、共訳、平凡社ライブラリー)などがある。
登録情報
- 出版社 : 慶應義塾大学出版会 (2022/4/16)
- 発売日 : 2022/4/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 476642557X
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