15世紀の半ば、活字印刷技術を発明したグーテンベルク。印刷技術の発明は火薬、羅針盤のそれとともに中世ヨーロッパの三代発明といわれる。それまで書物の生産は、一部木版印刷(ザイログラフィー)もあったが、基本的に手書きであった。しかし、グーテンベルクの登場以降、書物の印刷は革命的ともいえる進化をとげた。ここまではよく知られた事柄である。
この本を読むと、ことはそれほど単純ではないようで、そもそもグーテンベルクその人がいつどこで生まれたのか、どういう経歴の持ち主かもわかっていないそうでである。生涯の後年になって、1450年頃から「聖書」の印刷を始め、その普及に貢献したが、仕事半ばで印刷機に投資した借金の不払いにより、シェーファーに印刷機械一式をとりあげられ、シェーファーが「四二行聖書」を完成さたというのである。この逸話を含め、誰が印刷技術の発明者であるかについては論争があったようであるが、いまでは「辛うじてグーテンベルクの活版印刷術発明者としての地位は守られた」らしい(p.75)。
この「グーテンベルク聖書」の上巻を(下巻は遺失)慶應義塾大学は、1996年に購入した。この本は4世紀の終わりに聖ヒエロニムスがラテン語に翻訳した「ウルガタ聖書」をグーテンベルクがマインツで1455年頃に活字印刷本として完成させたものである(p.2)。慶応大学はプロジェクトHUMIをくみ、これをデジタル化して公開している。
「終章:マルチメディアの時代へ」では稀覯書のデジタル化が課題となっている今日、「グーテンベルクによって西欧にもたらされた印刷メディアは、20世紀後半にマルチメディアに取って代わられた。しかし、この『第二グーテンベルク革命』は、再びグーテンベルクの印刷文化やそれ以前の写本文化にメスを入れる機会を与えている。古い酒を新しい皮袋に盛るということは、こういうことを指すのであろう」と結んでいる(p.200)。
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グ-テンベルクの謎: 活字メディアの誕生とその後 単行本 – 1999/1/13
高宮 利行
(著)
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手書きから活字印刷へ-書物の大量生産を実現した15世紀ドイツの発明家グーテンベルクとは何者だったか.その美しい「聖書」はどのように生まれたか.コンピュータによってグーテンベルク聖書のデジタル化を進める著者が,謎に包まれたその生涯と当時のヨーロッパ社会に光を当て,今日に至る印刷文化の劇的な展開を描く.
- 本の長さ220ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1999/1/13
- ISBN-104000004441
- ISBN-13978-4000004442
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
本はどのようにして誕生したか? グーテンベルクが発明した活版印刷術が書物の出版にいかに用いられ、いかに後世に影響を与えたかを、歴史的、文化的に探ろうとする試み。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1999/1/13)
- 発売日 : 1999/1/13
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 220ページ
- ISBN-10 : 4000004441
- ISBN-13 : 978-4000004442
- Amazon 売れ筋ランキング: - 680,085位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,160位印刷・本づくり
- - 37,799位アート・建築・デザイン (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年1月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
グーテンベルクのことは良くわかっていない。本文で繰り返し出てくる言葉であるが、その結果、この本はグーテンベルクというよりはその周辺の話になっている。この点はしかたが無いが、その周辺の話として特に福沢諭吉との関係?など、たぶん限られた人以外には興味のわかない、歴史的にも些末な内容がそこかしこに挿入されており、読後感は、グーテンベルクの本を読み始めたはずなのに。。。何か別のものを読んだような感覚になる。
2005年8月3日に日本でレビュー済み
グーテンベルクは知人フストから出資を受け活版印刷を始めるが、そのフストに借金返済を迫られ、印刷機を持ち出されてしまう…。すこし詳しい方なら、グーテンベルクのそんな不遇の人生を耳にしたこともあるのでは。
この本は前半のグーテンベルクにまつわる謎についてと、後半の活版印刷術が世界に与えた影響についてのふたつに分かれる。
興味深かったのは、やっぱりグーテンベルクの謎の生涯について。彼が活版印刷の発明者といえるのか。本当に不遇の生涯だったのか。フストやシェーファーなどグーテンベルクを取り巻く連中はどんな人物だったのか。いまも研究されているそんな話を、豊富な文献資料によって紹介する。
断定的な結論は少ないけれど、豊富な資料により謎解きの材料をたくさん与えてくれる。学校の教科書では見過ごされてしまうサイドストーリーこそ味わい深いものだ。
しばしば取沙汰されるのは『42行聖書』。1ページ42行からなるこのインキュナビュラは、15世紀に始めて活版で印刷された聖書とされ、グーテンベルクが印刷に深く関わっているとされる。
180~200部しか刷られなかったこの稀覯書中の稀覯書を、1987年に丸善がオークションで落札した。そしてそれを1996年に慶應大学が購入し、解析などの研究を進めている。著者はこの「HUMIプロジェクト」の稀覯書研究チームの担当であり、『42行聖書』にとても近い人物だ。
この本は前半のグーテンベルクにまつわる謎についてと、後半の活版印刷術が世界に与えた影響についてのふたつに分かれる。
興味深かったのは、やっぱりグーテンベルクの謎の生涯について。彼が活版印刷の発明者といえるのか。本当に不遇の生涯だったのか。フストやシェーファーなどグーテンベルクを取り巻く連中はどんな人物だったのか。いまも研究されているそんな話を、豊富な文献資料によって紹介する。
断定的な結論は少ないけれど、豊富な資料により謎解きの材料をたくさん与えてくれる。学校の教科書では見過ごされてしまうサイドストーリーこそ味わい深いものだ。
しばしば取沙汰されるのは『42行聖書』。1ページ42行からなるこのインキュナビュラは、15世紀に始めて活版で印刷された聖書とされ、グーテンベルクが印刷に深く関わっているとされる。
180~200部しか刷られなかったこの稀覯書中の稀覯書を、1987年に丸善がオークションで落札した。そしてそれを1996年に慶應大学が購入し、解析などの研究を進めている。著者はこの「HUMIプロジェクト」の稀覯書研究チームの担当であり、『42行聖書』にとても近い人物だ。