Kindle 価格: | ¥950 (税込) |
獲得ポイント: | 22ポイント (2%) |
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
13・67 上 (文春文庫) Kindle版
名刑事クワンと弟子のローが挑んだ六つの難事件。
香港警察の「名探偵」と呼ばれた伝説の刑事クワン。2013年、末期がんで余命僅かな彼のもとに、難事件の捜査で行き詰ったかつての部下、ローがやってくる。
クワンが最後の力を振り絞り提案した前代未聞の捜査方法とは――。
戦後香港の現代史と一人の警察官人生を重ねながら、権力者と民衆の相克を描く華文ミステリーの傑作。
綾辻行人氏も絶賛!
最初の「黒と白のあいだの真実」を読んでまず、何と高密度・高レベルの本格ミステリであることか、と驚嘆した。
続く5つの中編も同様で、「本格」の典型からさまざまに逸脱していきながらも、すべてが実に本格ミステリ的な、優れた創意と技巧によってこそ成り立っているのだ。――という点も含めて、『13・67』は大変に感動的な1冊である。
※この電子書籍は2017年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
まとめ買い
シリーズの詳細を見る-
2冊すべて¥ 1,90032pt (2%)
-
2冊すべて¥ 1,90032pt (2%)
このまとめ買いには1-2冊のうち2冊が含まれます。
この本を読んだ購入者はこれも読んでいます
商品の説明
メディア掲載レビューほか
香港ミステリー界の新鋭が描いた、警察小説の傑作
古典的(クラシカル)なのに、新鮮。技巧的(トリッキー)でいて、人間ドラマは濃密。『13・67』は、まだ一般には馴染みの薄い華文(中国語)ミステリーへの関心をぐっと高めるだろう、掛け値なしの傑作だ。
作者の陳浩基(ちんこうき)は香港ミステリー界の新鋭で、第二回(二〇一一年)島田荘司推理小説賞を受賞した『世界を売った男』がすでに翻訳紹介されている。同賞レースは中国語で書かれた本格ミステリー長編を公募するもので、最終選考には島田荘司自ら携わる。陳浩基の受賞作は、一夜明けるとなぜか六年後の未来に来ていた警察官の混乱と職分(プライド)を描いてやや才走った感はあるが、その筆力は本物にちがいないと確信させるに足る好編だった。
としても『13・67』の出来(でき)は、期待値を遥かに上回っていた。物語の主人公は、香港警察の生ける伝説、クワン警視。その卓抜な捜査能力から「名探偵」とも呼ばれるクワンがこの半世紀(一九六七年~二〇一三年)に関わった六つの難事件を、現在から過去へ、年代を溯る形式で語り連ねる。
奸智に長けた囚人の用意周到な脱走劇の顛末を描く「クワンのいちばん長い日」、犯罪グループとの真昼の銃撃戦に意外な策謀が仕込まれていた「テミスの天秤」など、推理の妙味にあふれる個々の短編の水準の高さには目を瞠(みは)るばかり。最終話「借りた時間に」の結末の余韻は格別で、なるほど一人の警官人生を逆再生していたのはまったく伊達(だて)ではない。今野敏や横山秀夫の警察小説を愛読している向きには特にオススメできる一冊だ。
香港という人口稠密(ちゅうみつ)都市の発展を写し取り、反英闘争の嵐が吹き荒れた一九六〇年代と中国復帰を経て民主化運動が澎湃(ほうはい)と沸き立つ二〇一〇年代が照応されていることも見逃してはいけない。そう、『13・67』が描く“香港の五十年"の外側には、十九世紀末から二十世紀初頭の帝国主義の時代が今日(こんにち)繰り返されているかのような“世界の百年"があるのだから。
評者:佳多山 大地
(週刊文春 2017.10.12号掲載)登録情報
- ASIN : B08GX7RWGW
- 出版社 : 文藝春秋 (2020/9/2)
- 発売日 : 2020/9/2
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 4848 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 347ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 184,937位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 286位中国文学研究
- - 3,806位文春文庫
- - 4,809位評論・文学研究 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
特に、冒頭の「黒と白のあいだの真実」には完全に騙された。一言一句読み落としがない様に慎重に読み進めたのだが、結局、二重三重に騙された。読者の予想の遥か上を行く作者の力量には舌を巻いた。「囚人のジレンマ」をもじった「任侠のジレンマ」も良く練ってある。何名かの著名人が、「どうせ嘘を吐くなら、大きな嘘を吐け」、と述べているが、それを地で行った大きなスケール及び緻密な構成には感心した。「クワンのいちばん長い日」は、クワン警視の定年退職(後に嘱託)日に起こった複数事件の同時解決を扱った一作だが、少し読み慣れたせいか、やや凡庸に映った。と思いきや、本編は次編「テミスの天秤」の前哨戦であって、「任侠のジレンマ」にも似たこの次編の疾走感と壮大なスケールには、これまた感心した。「借りた場所に」は、誘拐もので、一応の捻りがある佳作だが、どうやら、「クワンのいちばん長い日」以降、香港警察の腐敗体質及び香港、中国、イギリス間の権力・政治闘争に重点を置いているという印象を受けた。社会派小説の趣きもあるのだ。掉尾の「借りた時間に」も、この流れを汲む一人称の語りだが、「陽と陰」、「白と黒」の一瞬の反転の鮮やかさには驚かれされた。
各中編は必ずしも時系列順ではなく、特に冒頭及び掉尾の両編を筆頭とした、その全体構成の妙にも唸らされた。チェスタトン風の奇抜なアイデアを、壮大かつ重厚として読者を圧倒する傑作だと思った。
ミステリそのものは、ロジックはしっかりしているものの、こじつけや強引なところも多く(実際、「推測」という言葉が時々使われている)、本格ミステリのファンにとっては、もっと捻りがほしい、物足りないと思う箇所もあったのでは。それでも、第6話の最後のところの意外性にはとても興奮したし、タイトル『13・67』の意味付けがやっとわかった。
ただ、第5話の「借りた場所」、第6話の「借りた時間」は、そのタイトルと本文内容の組み合わせが今一つしっくりこなかった(自分がそこまで読解できなかっただけかもしれないが・・・)。「借りた場所(Borrowed Place)」、「借りた時間(Borrowed Time)」というフレーズがハン・スーインの『慕情』から受け継がれる何とも言えない味のあるものであることからして、これらフレーズを使うならミステリ・ロジックとこれらフレーズとに関係性を持たすなり、ミステリ性と社会性をもっと連関させるなどして、もっともっと大切にこれらフレーズを使ってほしかった、というのが本音、個人的には。
とは言っても、『13・67』には、どんなに都市が発展しても香港が持つ決して変わらない香港性が一本しっかりと通っている。それぞれの年の社会背景にあって、旺角、油麻地、尖沙咀、湾仔、セントラル、レパルスベイなど地名やストリート名がところどころにちりばめられてもいて、事件やその取り巻く人間模様をさりげなく盛り上げている。香港好きにはたまらない一冊と思う。
期待し過ぎず、レビューを深く見ないで読めばそこそこ楽しめたかもと思った。
確かに年代を逆送して展開していくのは面白かったし、成長を見せる登場人物には魅力も感じたが…凄い面白かったかと言うとそうでもない。
特に最終話が面白いとの評価が多かったので期待していたが、自分的には「ふーん」程度で特別ビックリはしなかった。
香港については、ほとんど知識がない自分でも、十分楽しんで読むことができた。登場人物がとても魅力的で、できれば、番外編とかがあればすぐにでも読みたい、と思った。
間違いなく、ここ数年でのベスト1