信じるといふのは、それは見込みが無いから信じると言ふのであつて、見込みがあるのならば、それは投資とでも呼ばれるべきでせう。まるきり望みが無いからこそ、自らの命をかけて信じるのです。他の誰も本気で信じないからこそ信じるのです。はなから自分の利益を見込んでゐるくせに、あるいはそんな利益など問題でない、といふ風な態度を気取つてみせるものこそ、災いなるかな。自分の命をかけてゐないならば、それは投資です。だからこそ、信じて裏切られたなら、なおのこと生きてゐなければならないのです。裏切られて死ぬのならば、あなたは本当に信じてゐたのではなかつたのです。それは賭けに負けたいやしい人間の姿です。
信じて報われたならば、あなたは世界を手にするでせう。しかし、あなたの命はもう、あなたのものでは無くなるのです。信じて裏切られたなら、世界はあなたを永遠に失うことになるでせうが、あなたは信じる前より綺麗になつた、前よりも一層新しくなつた命を得るでせう。
新しくなつた命を大事にしてください。今度こそは、きつと死ねるはずです。
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ダス・ゲマイネ Kindle版
「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治による最初期の短編小説。初出は「文藝春秋」[1935(昭和10)年]。佐野次郎とあだ名される「私」が、菊の甘酒屋で知り合った「馬場」や「太宰」との交流を経て自殺を遂げるまでの話。「太宰」が体現する現実主義と「私」に代表される自意識家の二つの生き方が描かれている。
- 言語日本語
- 発売日2012/9/13
- ファイルサイズ302 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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登録情報
- ASIN : B009B060N6
- 発売日 : 2012/9/13
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 302 KB
- 同時に利用できる端末数 : 無制限
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 33ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: 無料タイトル - 1,066位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 218位評論・文学研究 (Kindleストア)
- - 248位日本の小説・文芸
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著者について
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(1909-1948)青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。
在学中、非合法運動に関係するが、脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が、第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年4月1日に日本でレビュー済み
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東京帝国大学でフランス文学を学ぶ私と、上野の音楽学校に8年通っていると自称する変人との交流の話です。
太宰の作品を多く読んでるわけではないですが、これまで読んできた著名な作品に比べても、自然体で、力みのない、力の抜けた感じの私小説的小作品で、当時の太宰の私生活の空気がそのまま感じらるような気がして、とても面白く読み進めることができました。例えば「人間失格」ほど大仰ではないし、軽妙な感じなのですよね。
経歴的に「私」は著者太宰治の投影かなと思っていたら、それを覆す、ちょっとした驚きの展開があるところも、なかなかにふざけていて面白いと思いました。これは、「太宰治」を演じることから、解放されるための仕掛けだったのかも知れません。
太宰の作品を多く読んでるわけではないですが、これまで読んできた著名な作品に比べても、自然体で、力みのない、力の抜けた感じの私小説的小作品で、当時の太宰の私生活の空気がそのまま感じらるような気がして、とても面白く読み進めることができました。例えば「人間失格」ほど大仰ではないし、軽妙な感じなのですよね。
経歴的に「私」は著者太宰治の投影かなと思っていたら、それを覆す、ちょっとした驚きの展開があるところも、なかなかにふざけていて面白いと思いました。これは、「太宰治」を演じることから、解放されるための仕掛けだったのかも知れません。
2016年11月14日に日本でレビュー済み
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この題名が答えになっているクイズを答えたので興味を持ってダウンロードしました!!
1ページ目で読むのやめちゃいましたけどねww
1ページ目で読むのやめちゃいましたけどねww
2019年9月6日に日本でレビュー済み
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あああ、天才だね。他にこの空気を書ける人はいない。太宰の最高傑作。あと、もうひとつは道化の花。あと、彼は昔の彼ならず。
2015年8月7日に日本でレビュー済み
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4人のセリフがお洒落で良い感じです。太宰本人も登場しますが、他の3人も作者の分身て感じで、誰が喋っているのかわからなくなりました。最後のセリフはまさに真理。
2018年10月11日に日本でレビュー済み
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好きな女の人がいて、その人に似ている女の子が働いている甘酒屋さんに通う主人公。そこで、奇妙な服装の自称音楽学校の学生と不思議な出会いをする。
台詞回しが独特でおもしろい。上野界隈はよく行くので、この頃はこんな風景だったんだなと思うのも楽しい。
太宰本人も出てきますが、これは本当に太宰がモデルなのかしら。
そして、最後の数ページの疾走感。あっという間に引き込まれたと思ったら、いきなり何もない空間に放り出されたような感じ。
すごいな。さすが太宰だなと思った作品です。
台詞回しが独特でおもしろい。上野界隈はよく行くので、この頃はこんな風景だったんだなと思うのも楽しい。
太宰本人も出てきますが、これは本当に太宰がモデルなのかしら。
そして、最後の数ページの疾走感。あっという間に引き込まれたと思ったら、いきなり何もない空間に放り出されたような感じ。
すごいな。さすが太宰だなと思った作品です。