〇 『モナドロジー』はわずか70ページで、この世界がどのように成り立っているかを説明しようというもの。そういう種類の本ではないはずだが、読み進めるにつれて思わず興奮し感動した。
〇 その叙述には簡潔美と構築美を感じる。本書はこんなふうに始まる:
1.私たちがここで論じるモナドとは、複合体のなかに入る単純な実体に他ならない。単純とは部分がないことだ。
2.複合体があるからには、単純な実体がなくてはならない。複合体とは、単純な実体の集まりないし集合にほかならないのである。
3.さて、部分がないところには、拡がり(延長)も、形も、可分性もない。そしてこうしたモナドは、自然の真の原子であり、ひとことで言えば事物の要素である。
4.・・・
〇 このように、世界を構成する原子である「モナド」から話は始められ、次いでモナドによって構成される「物体」に焦点は移り、さらに物体のうち命を持つ「動物」、命の特徴である「魂」、魂が理性を獲得した「精神」、創造者である「神」、精神が神のもとでくらす「神の国」について叙述される。自然科学ではじまり最後は形而上学となって終わっている。
〇 読むうちに著者がきわめて論理的合理的な発想をしていることに感銘を受けた。
第一に、著者は創造者としての「神」を想定するがそれはイデアのようなものである。キリスト教の束縛をほぼ脱している。
第二に、モナドがどのように組み合わされて現在の世界が出来ているかということについて、著者は偶然の産物ではない、必然だという(なぜならば神はあらゆる可能性のなかで最善のものを選ぶはずだから)。こうした予定調和説を取れば当然のこととして、現宇宙の秩序は最善であり、神の国では善行悪行は適切に報われあるいは罰せられる、ということになる。
第三に、すべてのモナドはこの世に存在する他のモナドと濃淡の差こそあれ何らかの形で連繋し関係しているという動的・ネットワーク的な発想がある。
〇 著者は顕微鏡を使って様々なものを観察したらしくその体験が本書に反映されてもいる。この本を読んで、神学から自然科学が生まれ出る瞬間を目撃したような気がした。
〇 18世紀初頭に書かれた本をこのように楽しめたのは、明晰このうえなくしかも自然な翻訳、各項目に付せられた的確な注のおかげである。一緒に収録されている「原理」と「新説」に二篇もたいへん理解を助けてくれた。訳者には心からの感謝を贈りたい。
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モナドロジー 他二篇 (岩波文庫 青 616-1) 文庫 – 2019/4/17
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「モナドには窓がない」という言葉で知られる単純な実体モナド。その定義に始まり、モナドが織りなす表象、予定調和の原理、神の存在と最善な可能世界の創造、物体の有機的構造、神と精神の関係まで、広範な領域を扱うライプニッツの代表作。「理性に基づく自然と恩寵の原理」ほか、関連する論文と書簡などを併収。新訳。
- 本の長さ248ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2019/4/17
- 寸法10.5 x 1 x 14.8 cm
- ISBN-104003361695
- ISBN-13978-4003361696
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2019/4/17)
- 発売日 : 2019/4/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 248ページ
- ISBN-10 : 4003361695
- ISBN-13 : 978-4003361696
- 寸法 : 10.5 x 1 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 10,675位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 214位哲学 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年7月21日に日本でレビュー済み
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2024年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「モナド」とは何かを知りたくて、本書を読んでみるつもりでした。というのは、神智学の、コーザル、ブッティ、モナドという状態の意味を、理解したかったからです。「モナド=魂=真我」を予測したのですが、そうではありませんでした。私の理解できない内容でした。どこを読んでも、理解が至らないのです。「それ、違うんじゃない?」そういう疑問もたくさん。納得できない説明がずらずらと続き、読後感はよくありません。私の理解力と西洋哲学の知識が著しく不足していたので、私が読めなかっただけのことです。翻訳が悪いとは言えません。翻訳された方は、この内容が理解できたからなのでしょう。場違いな感想で、申し訳ございません。
2023年3月11日に日本でレビュー済み
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量子もつれ状態が「モナド」の特徴を有していることに気づき、購入しました。
※評者は、脳が、知覚処理中、量子もつれ状態(/多世界共存状態)に成り、その量子もつれ状態が意識を持つと考えています。
※ちなみに、量子もつれ状態(/多世界共存状態)に於いて、世界間で共通の{「直接知覚状態(/感覚状態)」+「短期記憶状態(/前回の知覚結果状態のコピー)」}が 意識内容です。
※評者は、脳が、知覚処理中、量子もつれ状態(/多世界共存状態)に成り、その量子もつれ状態が意識を持つと考えています。
※ちなみに、量子もつれ状態(/多世界共存状態)に於いて、世界間で共通の{「直接知覚状態(/感覚状態)」+「短期記憶状態(/前回の知覚結果状態のコピー)」}が 意識内容です。
2023年6月2日に日本でレビュー済み
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面白い本です 「訳者あとがき」の文章が優れており、此の難解書理解への恰好のイントロとなっています 気に掛かりながらも正直敬遠していた本書でしたが読んでみようの気持ちにさせてくれました 斯く、本書は先ず後ろから入ることお薦め致します
中学生の頃か教科書に有った記憶です オランダのレーウェンフックが17世紀に顕微鏡を発明と Leibniz(1646〜1716)はこの時代のドイツ(ライプツイヒ)生まれ 二人は現に会っています ですから、池の水は単なる素朴風景の一にあらず多様な微生物で詰まった他世界であること、精子の構造と運動、受精卵の発生学、身体の微細構造…次々と顕微鏡が明らかにした自然界の斬新な事実を科学者Leibnizは常識レヴェルとして素直に取り入れていました
当時のヨーロッパ文化の中心はフランス 先行してヨーロッパ思想界を牽引していたコギト・エルゴ・スムのDescartes(1596〜1650)の時代には決して知られていなかった大advantage(科学的factsの数々)が後走者Leibnizには有りましたこと 本書はこれらの歴史的諸事実を文脈上幾つも登場させて興味深く読ませてくれます 当然の事、眼前に横たう今や旧くなった思想の無知・誤りは目立ちます 新武器・新事象を我が物としたLeibnizにとって批判・刷新の対象となりました
若くして法学で博士号(ライプツィヒ大学)を得て更に、言語学、歴史学、論理学と関心はマルチ、物理学(力学)にも才を示したLeibnizは、「実体」に保存されるもの(力)はDescartesの言う運動量(mv)ではなく活力(mv²)であるとします(mは質量、vは速度)
更に彼は優れた数学者でもありました 向学心からパリに出て新しい理論を貪るなかで今日の微分法の発見にまで行きつきます 此れは謂わば「無限」を「有限」界に持ってくるもの、形而上学的にも窮路をfineに抜けて行く解釈に画期的意味合いが出て参りますこと想像に難くありません
Leibniz の父はライプツィヒ大学の教授(道徳哲学)でした 息子は父の書斎で自ら学び、其処で古典の著者たちに早くから親しみ、自ら学ぶ習性が培われたと本書「あとがき」から教えて頂きました 斯く、一人学びの学問習慣こそ早くから男児自らを独学で育て、必然、天才は中央(フランス、オランダ)に出て行き、其処での多くの交流を通して自己学問は更なる深化へと向かい、そしてユニークな「モナドロジー」の体系を築くまでに
私たちは今スマホの時代、Leibnizに学ぶこと大変多いと存じます、此れ読後感となりました
素晴らしい訳者に先ず感謝 Leibnizの今に通じる革新性に底知れぬ感謝を覚えます 精神の在りよう今なお新鮮ですこと
中学生の頃か教科書に有った記憶です オランダのレーウェンフックが17世紀に顕微鏡を発明と Leibniz(1646〜1716)はこの時代のドイツ(ライプツイヒ)生まれ 二人は現に会っています ですから、池の水は単なる素朴風景の一にあらず多様な微生物で詰まった他世界であること、精子の構造と運動、受精卵の発生学、身体の微細構造…次々と顕微鏡が明らかにした自然界の斬新な事実を科学者Leibnizは常識レヴェルとして素直に取り入れていました
当時のヨーロッパ文化の中心はフランス 先行してヨーロッパ思想界を牽引していたコギト・エルゴ・スムのDescartes(1596〜1650)の時代には決して知られていなかった大advantage(科学的factsの数々)が後走者Leibnizには有りましたこと 本書はこれらの歴史的諸事実を文脈上幾つも登場させて興味深く読ませてくれます 当然の事、眼前に横たう今や旧くなった思想の無知・誤りは目立ちます 新武器・新事象を我が物としたLeibnizにとって批判・刷新の対象となりました
若くして法学で博士号(ライプツィヒ大学)を得て更に、言語学、歴史学、論理学と関心はマルチ、物理学(力学)にも才を示したLeibnizは、「実体」に保存されるもの(力)はDescartesの言う運動量(mv)ではなく活力(mv²)であるとします(mは質量、vは速度)
更に彼は優れた数学者でもありました 向学心からパリに出て新しい理論を貪るなかで今日の微分法の発見にまで行きつきます 此れは謂わば「無限」を「有限」界に持ってくるもの、形而上学的にも窮路をfineに抜けて行く解釈に画期的意味合いが出て参りますこと想像に難くありません
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私たちは今スマホの時代、Leibnizに学ぶこと大変多いと存じます、此れ読後感となりました
素晴らしい訳者に先ず感謝 Leibnizの今に通じる革新性に底知れぬ感謝を覚えます 精神の在りよう今なお新鮮ですこと