著者はテレビ東京『開運!なんでも鑑定団』の鑑定士も務める古書業者。約50年間古書業界に携わった中で扱った貴重な書籍、絵図、手紙類などを入手した際のエピソードを中心に、著者自身の生い立ち、古書業界の現状など様々な話が盛り込まれている。
本書を読むまで、古本、古書、古典籍という言葉の違いも良く理解していなかったが、Amazonやヤフオクを中心としたネットで何でも手に入るように思える時代にあっても、「文字通りネットからすり抜けているもの」(「はじめに」7p)、それが古典籍や歴史資料と呼ばれるものだそうである。それらは古書の業者の間で行われるオークションや直接取引を通して特定の分野に強い業者の元に集まってくる。オークションの下見で是非とも欲しいと思えるものに出会っても他の業者に悟られないようポーカーフェイスを装ったり、確実に入手するため何段階もの入札値を入れたり、実際に入手したら国立国会図書館などにも足を運び本物かどうか確認するといった古書業界の裏側というか実情が著者の実体験をもとに多く語られており大変興味深かった。
また著者は古典籍を求めてしばしば海外にも行っているということで、海外の古典籍の実情にも詳しく、江戸や室町時代はおろか鎌倉、平安時代の古典籍あるいはその断簡といったものが未だに市場に出て来て、価格を別にすれば一般の人もそれらを入手可能というわが国の状況が世界的にみても非常に珍しいのに、日本人の多くがそれに気づいていないことを指摘している。自分で勉強するか、信頼のおける業者と知り合いになれば歴史的あるいは学術的にも価値のある古典籍を自分のものにするチャンスがあるということはもっと多くの人に知られてよいことだと思われる。また一般の関心が高まれば、人知れず眠っている貴重な古典籍が(海外も含めて)発見される可能性も高まるだろうし、需要が高くなれば古書業界も参入者が増え活性化されていくであろう。
第六章に「日本古典籍の大コレクターたち」という項目があり興味深く読んだが4ページほどで少し物足りなかった。古典籍そのものの研究やコレクションの形成の歴史といった点に焦点を当てても1冊の本になりそうである。著者には経験や知識を生かして古典籍に関する続編を期待したい。
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古典籍の世界を旅する: お宝発掘の目利きの力 (964;964) (平凡社新書 964) 新書 – 2021/1/17
八木 正自
(著)
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購入オプションとあわせ買い
著者自身が国内・海外の業者市やオークションで発掘・落札した、奈良時代から明治時代にかけての写本や木版画、かわら版、直筆手紙といった、文学的にも歴史的にも価値の高い貴重な古典籍について紹介する。そのほか、著者が古書業界と関わることとなったきっかけや恩師らとの出会い、世界的に評価される日本の古典籍を支える蒐集家についても紹介する。
- 本の長さ229ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2021/1/17
- ISBN-10458285964X
- ISBN-13978-4582859645
商品の説明
著者について
1948年東京都生まれ。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部卒業。古書店主、比較文化研究家。東京都古書籍商業協同組合副理事長、全国古書籍商組合連合会専務理事、日本古書籍商協会(ABAJ)会長、大阪青山短期大学非常勤講師などを歴任。現在、有限会社安土堂書店代表取締役、実践女子大学文芸資料研究所客員研究員、日蘭協会会員。テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」では鑑定士を務める。98年より月刊誌『日本古書通信』で「Bibliotheca Japonica」を連載。著書に『日蘭交流史――その人・物・情報』(共著、思文閣出版)などがある。
登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2021/1/17)
- 発売日 : 2021/1/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 229ページ
- ISBN-10 : 458285964X
- ISBN-13 : 978-4582859645
- Amazon 売れ筋ランキング: - 649,748位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 646位平凡社新書
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古典籍の世界を旅する本である。字の大きな新書本。
古典籍の定義はデジタル大辞泉によれば、「明治元年頃以前に、日本で書写または印刷された書籍や記録文書で、現代において価値が認められるもの」である。
一方、本書の著者は「古典籍とは、明治時代以前の本・・」と書いているので、ヤフオク等で一冊1000円未満で買える江戸時代の格安和書類も含まれてしまいそうだが、「価値あるものは数万、数十万、さらには、数千万円するのもある。本当の古典籍はこのような部分の本である」であると言っており、本書はこういう「本当の古典籍」についての話である。
また、著者は古典籍コレクターではなく、古典籍を市場で仕入れ、コレクターや研究機関、大学、博物館等に納入する古書業者である。また市場といっても多くは業者市で、そういう所でどうやって貴重な古書籍を見つけ、上手に落札したかという体験談(自慢話?)であって、古書古本好き、古書古本マニア、古書古本セドラーの体験本とはレベルが違い、一般読者の明日からの古書古本収集(またはゴミ集め)生活に直接参考になるわけではない。
しかし、古書古本マニアの本はたくさんあっても、こういう古典籍取り扱い業者の本は少なく、まして新書本としては珍しいと思う。その点では、珍しい話の聞ける楽しい本である。
本書によく出てくる東京古書会館の東京古典会、明治古典会は、毎週1回開かれる古典籍の業者市だが、年1回大入札会があって、会場で一般人も下見できるとのことである。
本書に出てくる古書籍の落札エピソードは
フランシスコ・ザヴィエル書簡(ロンドンのマグス書店)、北斎版画(クリスティーズ)、川原慶賀「長崎出島図」(ロンドンの浮世絵専門店)、かわら版「大阪冬之陣図」(業者市明治古典会)、「金剛場陀羅尼経」(業者市)、義浄「南海寄帰内法伝」(業者市)、長崎版画「紅毛本國舩之圖」(業者市)、現存10部以内のシーボルト著高良斎訳「薬品応手録」(業者市)、「梁塵秘抄『口伝集』の江戸写本」(業者市)、青木昆陽「国家食貨略」(業者市)、吉田松陰直筆「野山獄文稿」(業者市)、「坂本龍馬から姉への手紙。婚約女性の紹介」(明治古典会大入札会でコレクターからの依頼で、1633万円で落札)などなど。
なお、それぞれの古書籍について、古書籍としての価値、時代背景等の説明がある。著者は工学部出身で、江戸科学本が得意分野の一つのようで、そちらの話も楽しい。
古典籍の定義はデジタル大辞泉によれば、「明治元年頃以前に、日本で書写または印刷された書籍や記録文書で、現代において価値が認められるもの」である。
一方、本書の著者は「古典籍とは、明治時代以前の本・・」と書いているので、ヤフオク等で一冊1000円未満で買える江戸時代の格安和書類も含まれてしまいそうだが、「価値あるものは数万、数十万、さらには、数千万円するのもある。本当の古典籍はこのような部分の本である」であると言っており、本書はこういう「本当の古典籍」についての話である。
また、著者は古典籍コレクターではなく、古典籍を市場で仕入れ、コレクターや研究機関、大学、博物館等に納入する古書業者である。また市場といっても多くは業者市で、そういう所でどうやって貴重な古書籍を見つけ、上手に落札したかという体験談(自慢話?)であって、古書古本好き、古書古本マニア、古書古本セドラーの体験本とはレベルが違い、一般読者の明日からの古書古本収集(またはゴミ集め)生活に直接参考になるわけではない。
しかし、古書古本マニアの本はたくさんあっても、こういう古典籍取り扱い業者の本は少なく、まして新書本としては珍しいと思う。その点では、珍しい話の聞ける楽しい本である。
本書によく出てくる東京古書会館の東京古典会、明治古典会は、毎週1回開かれる古典籍の業者市だが、年1回大入札会があって、会場で一般人も下見できるとのことである。
本書に出てくる古書籍の落札エピソードは
フランシスコ・ザヴィエル書簡(ロンドンのマグス書店)、北斎版画(クリスティーズ)、川原慶賀「長崎出島図」(ロンドンの浮世絵専門店)、かわら版「大阪冬之陣図」(業者市明治古典会)、「金剛場陀羅尼経」(業者市)、義浄「南海寄帰内法伝」(業者市)、長崎版画「紅毛本國舩之圖」(業者市)、現存10部以内のシーボルト著高良斎訳「薬品応手録」(業者市)、「梁塵秘抄『口伝集』の江戸写本」(業者市)、青木昆陽「国家食貨略」(業者市)、吉田松陰直筆「野山獄文稿」(業者市)、「坂本龍馬から姉への手紙。婚約女性の紹介」(明治古典会大入札会でコレクターからの依頼で、1633万円で落札)などなど。
なお、それぞれの古書籍について、古書籍としての価値、時代背景等の説明がある。著者は工学部出身で、江戸科学本が得意分野の一つのようで、そちらの話も楽しい。
2021年2月7日に日本でレビュー済み
古典籍を扱う古書店主の回想録。著者は、父親が丸善の「本の図書館」の館長を最後に退職した人で、小さいころから古書に囲まれて育ったとのこと。そのような生い立ちから、大学工学部卒業後に古書店で修業の後、店舗無しで古典籍を扱う仕事を始めた。反町茂雄氏の本にはかなわないが、古書業界や扱った古典籍についてなど、古本好きにとって興味深い話がたくさんある。