ハネケ初の長編映画。さぞかし後味が悪いんだろうなあー・・、と思いながら
見たわけだが、確たる動機の説明もなくああいう展開に突入していくところに、
むしろ爽快感に近いものを覚えた(結末はひたすら暗いのだが)。
いつも思うことだが(といっても、今までに見たのは『城』『ピアニスト』だけだが)、
ハネケ作品は画面が隅々まで完璧に統御されていて、その中で登場人物たちが
繰り広げる狂気そのもののような営為が、とくに深い意味もないようなものとして、
あくまで冷たく・淡々と・即物的に撮られていくところに、妙なリアリティや中毒性がある。
本作は、「感情の氷河化」三部作の一作目とのことだが、さっそく『ベニーズ・ビデオ』
『71フラグメンツ』の2本も借りてきたので、これから見ることにしよう(笑)。