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越年 岡本かの子恋愛小説集 (角川文庫) 文庫 – 2019/8/23

4.2 5つ星のうち4.2 9個の評価

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岡本かの子の優れた短編の中から、恋愛にまつわる傑作を選りすぐって収録!

12月のある日、加奈江は同僚の男から突然平手打ちをされる。しかも男はそのまま退職してしまった。加奈江は悔しさのあまりその男を探して銀座を歩き回るが…(「越年」)。恋愛にまつわる傑作短編を収録!
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商品の説明

著者について

●岡本 かの子:東京都生まれ。跡見女学校卒。1906年与謝野晶子に師事し「明星」に投稿。のち「スバル」同人として活躍。1910年画学生岡本一平と結婚、翌年太郎を出産。1929年から7年間渡欧。帰国後、1936年に芥川龍之介をモデルとした『鶴は病みき』で作家デビュー。以来、短編を中心に多くのすぐれた作品を残した。1939年没。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ KADOKAWA (2019/8/23)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2019/8/23
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 192ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4041085616
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4041085615
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.7 x 0.8 x 14.9 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 9個の評価

著者について

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岡本 かの子
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上位レビュー、対象国: 日本

2022年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
友人の勧めでNHKの朗読を聴いたが、その際に岡本かの子の金魚繚乱に感動。早速読みたくなり購入。期待以上に素晴らしい。今や漫画にもなっているようだ。
2019年9月8日に日本でレビュー済み
この粘り、この求心力。現代の女流作家(あえてこの言葉を使う)は岡本かの子を心して読むべし。

最も多くページを割いているのは「金魚繚乱」。崖の上に住むアンニュイな幼馴染に惹かれる主人公。しかし男は、家業である金魚の養殖に打ち込むうちに、次第に新種の金魚を作り出すことに熱中していきます。美しい幼馴染と美しい金魚。金魚のような女から金魚そのものへ。女が好きなのか金魚が好きなのか。小説世界は美と混沌の様相を呈したあげく、意外なエンディングを迎えます。

「老妓抄」は、長年水商売で生きた老芸者が、何を思ったか発明に打ち込む若者を世話する話。ツバメにするのでも養女と沿わせるのでもない。発明に倦んだ男が財産を狙うのでもない。ついに何事も起こらない3人の不可思議な関係。女心の襞を描き尽くす妖しい文章が、読み手を引き込んでいきます。

そして代表作ともいわれる「家霊」。家業のどじょう店を毛嫌いながら、やがて店の帳場に座る一人娘と、毎晩どじょう汁をねだりに来る訳ありの老職人。代々入り婿の放蕩に苦労してきた家付き女四代が、それでも家業に執着して見えてくるものは。練りあげた文章が精妙さを放ちます。

「夏の世の夢」「過去世」の両編は、それぞれ結婚前の娘と生活力のない旧家の兄弟の話。失われゆく妖しい夜と滅びゆく妖しい同性愛。多くの小説や映画で取り入れられている世界。岡本かの子のこの作品が先駆けなのでしょうか。

「窓」は、 男と女の別れを、かつて女の部屋の窓から見た火事の思い出と重ねた短編。火事の爆発が女の「妬心」を誘発するというのは面白いのですが、時系列が今一つすっとこちらの胸に入ってきませんでした。

「越年」は、退職直後の同僚に頬を叩かれたOLが、怒りに任せてその男を探し回る話。ようやくにして見つけたあげく知らされた真の理由とは…。表題作だからと思って期待するほどの意外性はあまりありません。他にわずか二頁のショートコントの「気の毒な奥様」。

「恋愛小説集」と銘打ちながらさすが岡本かの子。どれも一癖二癖あるものばかりです。でも異様な愛が異様に見えないのがさすが。作者の筆力のなせる業でしょう。

表題作をタイトルにして映画化もされるそうです。峯田和伸と橋本マナミW主演。来春公開。
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