とても読み応えのある内容でした。
私は教わることより教えることは難しいと思います。
生徒一人ひとり、違う人間で個性があります。
そのような人々を相手とするとき、同じやり方は必ずしも通用しません。
教えたい内容が同じでもアプローチを変える必要があります。
また、そもそも自分の指導方針が適切であるのかどうか、という問題もあります。
そのような時どうするか?
要所要所に指示や問いが挟んであり、常に己に問いかける内容です。
そしてそれに対するヒントなり答えなりも記載されています。
「自分がどれだけ教えたか」より「生徒がどれだけできるようになったか」があなたの力量を表すすべて。
という言葉が刺さります。
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音楽家を成長させる「教える技術」 ~相互に高め合う演奏と教育のアプローチ 単行本 – 2022/1/26
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教えることは、あなた自身の音楽性を磨き、演奏能力を高めることに繋がる!
アメリカの音楽教育界で、演奏家や指導者から熱狂的な賞賛を受けた革新的なアプローチの詳細が一冊に。
練習方法、課題曲の選び方と与え方、信頼関係の築き方、教室運営、教育哲学……
あらゆる角度から、教育的アプローチを徹底解剖。
演奏と教育、両方の分野で活躍する2人の著者(ヴァイオリニスト&チェリスト)によって体系化された「教える技術」。楽器・専攻・音楽ジャンルを問わず、すべての音楽家に読んでいただきたい内容です。
[目次]
■はじめに
◇第I部 演奏家について
■第1章 音楽性とは何か
「音楽的に優れている」とは、どういうことか? /音楽性は学べるだろうか? /知識によって高められる音楽性/音楽の背景と音楽言語を理解する/人間経験を通して表現力ある演奏を探る
■第2章 聴くこと
聴くことを学ぶ/さまざまな聴き方:客観的、批判的、選択的、主観的/インナーリスニング/音の知覚とほかの感覚
■第3章 テクニック
ユニヴァーサルなアプローチからテクニックを考える/テクニックの身体的特性/テクニックを安定させる身体的要素/楽器音響と発音メカニズム/動きと正確性/テクニックに必要な認知プロセス/音楽家の健康と損傷予防
■第4章 練習
練習しなくてはいけない? /練習の目的/練習のプロセス/最適の練習をするための身体と精神の状態/時間を最大限使う
■第5章 演奏
本番を想定した練習/本番の演奏に関する諸事項/ステージでの存在感/演奏の核にある表現/芸術性を深め、影響力を広げる
◇第II部 教える技術
■第6章 教えるにあたって守るべき原理
■第7章 順序を考える
重要なのは順序/初心者レベルの順序を考える/練習曲、練習曲集、抜粋曲/レッスン期間が異なる場合の順序を考える/順序から逸脱した順序
■第8章 生徒の自立心を養う
「生徒に負担をかけない教え方」の問題/自立した音楽家の基本的なスキル/演奏の準備/自分でレパートリーを選ぶ/プロ意識を高める
■第9章 総合して教える
総合された音楽性/名曲をレパートリーとする意味/理解したことを偉大な教えにするには/総合して教えるための方略/評価する/全体を見る/優先順位を決める:最後のお話
■第10章 あなたの教育哲学
教育哲学を主張するメリット/実際に教えていることを教育哲学の基礎にする/書くという最後の段階
◇第III部 教えるプロとしての音楽家
■第11章 音楽教室を立ち上げる
独立したレッスン室/教室を運営する/そのほかのプライベートレッスン/税金を払う
■第12章 グループ、アンサンブル、クラス授業、そのほかのレッスン
グループレッスン/評価/副科や社会人の学生/特別支援が必要な学生にとって有意義な音楽経験
■第13章 毎日の考察と課題
教師と生徒の関係性/保護者に協力を求める/プロとしての倫理/保護者と良い関係を築く/鏡を見る:自分自身の問題を解決する
■第14章 教えと学びの循環的・相互的作用
学び続けること/共同学習の機会
■結論
補遺
読書案内
訳者あとがき(久保田慶一)
索引
------------------
■著者について
ローリー・スコット
テキサス大学(オースティン)音楽人文学習学部准教授。テキサス大学で博士号(音楽教育)を取得後、州内のオーケストラや室内楽と多数共演するかたわら、中学や高校でユース・オーケストラの指導を行うなど教育にも情熱を注ぐ。
代表を務めたテキサス大学弦楽プロジェクトは、アメリカ弦楽指導者協会( ASTA )と全米弦楽プロジェクトコンソーシアム( NSPC )より、2008年の「弦楽プロジェクト・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。弦楽クリニックの専門家としても著名で、弦楽器教育や学校教育の分野で活躍している。本書のほか、共著で弦楽器の教本なども執筆している。
コーネリア・ワトキンス
ハート音楽院卒業後、バーモントを拠点にさまざまな音楽祭や演奏会で室内楽やオーケストラと共演を重ねる。
1982年にテキサス州ヒューストンに移り住み、ヒューストン大学で修士号を取得。その後、演奏活動を行うかたわら、ライス大学シェパード音楽院でチェロや教育学について教鞭を執る。2018年より、36年間暮らしたヒューストンを離れてウィスコンシンに移り、ノースウェスタン大学のビーネン音楽院で教育学などを教えるほか、音楽教師を育成するクリニックを開催し、音楽教育組織の委員を務めている。
多数の音楽雑誌に寄稿するなど執筆活動も精力的に行い、著書に『 Rosindust:Teaching, Learning and Life from a Cellist' s Perspective(ロジンダスト:教え、学び、生きる。チェリストの立場から) 』(2008年、未邦訳)がある。本書は2冊目の著書となる。
■訳者について
久保田 慶一(くぼた・けいいち)
東京藝術大学音楽学部、同大学大学院修士課程を修了。芸術学修士(1981年東京藝術大学大学院)、音楽学博士(1999年東京藝術大学大学院)、カウンセリング修士(2006年筑波大学大学院)、経営学修士(2009年首都大学東京大学院)。
ドイツ学術交流会の奨学生として、ドイツ連邦共和国のフライブルク大学、ハンブルク大学、ベルリン自由大学に留学。東京学芸大学教授、国立音楽大学教授を経て、現在、東京経済大学客員教授、放送大学講師。
------------------
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
- 発売日2022/1/26
- 寸法18.5 x 1.6 x 26 cm
- ISBN-104636972341
- ISBN-13978-4636972344
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著者について
ハート音楽院卒業後、バーモントを拠点にさまざまな音楽祭や演奏会で室内楽やオーケストラと共演を重ねる。1982年にテキサス州ヒューストンに移り住み、ヒューストン大学で修士号を取得。その後、演奏活動を行うかたわら、ライス大学シェパード音楽院でチェロや教育学について教鞭を執る。2018年より、36年間暮らしたヒューストンを離れてウィスコンシンに移り、ノースウェスタン大学のビーネン音楽院で教育学などを教えるほか、音楽教師を育成するクリニックを開催し、音楽教育組織の委員を務めている。多数の音楽雑誌に寄稿するなど執筆活動も精力的に行い、著書に『Rosindust:Teaching, Learning and Life from a Cellist's Perspective(ロジンダスト:教え、学び、生きる。チェリストの立場から)』(2008年、未邦訳)がある。本書は2冊目の著書となる。
登録情報
- 出版社 : ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス (2022/1/26)
- 発売日 : 2022/1/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 304ページ
- ISBN-10 : 4636972341
- ISBN-13 : 978-4636972344
- 寸法 : 18.5 x 1.6 x 26 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 204,658位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 573位音楽学・音楽教育学
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2022年4月2日に日本でレビュー済み
2人の著名な音楽教育家による音楽の教育論です。
第1部で音楽家としての姿勢、第2部で音楽を教える技術、
第3部で実際に音楽教室を立ち上げて日々の音楽の教え方が解説されています。
読む前は精神論的なものばかりかなと考えていましたが、
第3部のように具体的にどのように音楽教室を立ち上げて、
どのような課題が発生してどう対処していくかが具体的に記載されていました。
ただ、すべて海外のルールに基づくものなので、日本では読み替える必要があります。
せっかくヤマハから出版されているので、著者やヤマハの追加解説があってもよかった気がします。
悩んだときに読むと、こういう考え方もあるのか、こうしたらいいのか、という
学びが得られるよう網羅的に記載されているので、
何か立ち返りたいときに該当部分を読むスタイルが合っている著書だと思います。
著者が2人とも弦楽器奏者のため、やや弦楽器に寄った解説が多いので注意が必要です。
第1部で音楽家としての姿勢、第2部で音楽を教える技術、
第3部で実際に音楽教室を立ち上げて日々の音楽の教え方が解説されています。
読む前は精神論的なものばかりかなと考えていましたが、
第3部のように具体的にどのように音楽教室を立ち上げて、
どのような課題が発生してどう対処していくかが具体的に記載されていました。
ただ、すべて海外のルールに基づくものなので、日本では読み替える必要があります。
せっかくヤマハから出版されているので、著者やヤマハの追加解説があってもよかった気がします。
悩んだときに読むと、こういう考え方もあるのか、こうしたらいいのか、という
学びが得られるよう網羅的に記載されているので、
何か立ち返りたいときに該当部分を読むスタイルが合っている著書だと思います。
著者が2人とも弦楽器奏者のため、やや弦楽器に寄った解説が多いので注意が必要です。
2022年7月5日に日本でレビュー済み
音楽教育者向けにかなり細かい事項まで記述されています。音楽そのもの総論から、教える技術、音楽家論やら切込む幅が広いのですが、それでいて抽象論にとどまらず日常的、具体的、個別的な事例、アドバイスも含めてかなり本格的で丁寧な指南書です。それぞれ何度もでも考えたいようなことばかりです。日本の音楽教育事情と異なる箇所もあるとは思いますが、おそらく、教育者であれば一度は出会ったことのあるような問題について取り上げたりして興味深いです。例えば失礼な態度の生徒についてや、お金の問題、師弟関係についてなど。そして当然考えたこともない話題も出てくると思います。
各論としては音楽を教える技術として話ですので、単にぼやっとした話ではなく、きちんと腹を据えて向かい合える本になっています。ご自分にあうかあわないは別としてもちょっと立ち読みなどしてみるのをおすすめします。
各論としては音楽を教える技術として話ですので、単にぼやっとした話ではなく、きちんと腹を据えて向かい合える本になっています。ご自分にあうかあわないは別としてもちょっと立ち読みなどしてみるのをおすすめします。
2022年3月17日に日本でレビュー済み
家族の中に音楽が好きなものがいて、レッスン等に通ってるものですから、読んでおけば何かの参考になるかなと思い入手しました。届いて早速全部ではなく断片的ですけれども読みました。かなり本格的な音楽指導者のための理念書です。かなりしっかりとした内容なので素人が読むようなものではなかったなというのが正直なところです。ただしその内容に関しては例えば教育であるとか、部下の指導、子育てなどに共通して通底する部分があり、参考になりました。少し話がずれるかもしれませんが、特定領域の専門家の中にはスキルや手続きを教えることに視点が向きすぎて、細かい話になって学習者や担当者が自立した成長ができない、自主的な判断や工夫ができない人にしてしまうことがありますが、そういうことの警告というような側面もある。もしあなたが音楽家で自分の指導の下を外れた時に、その子が音楽をやめてしまうとか、そういう際には読んでみると参考になるのではないかと想像します。また音楽家でないとしても、自身の教育であるとか指導について、他の領域からの示唆のある内容でありますので、4で見られると考えるポイントあると思います。良い内容の本。
2022年3月12日に日本でレビュー済み
アメリカで好評だった指導者向けの本を翻訳したものです。
専門的な内容もあり、文字数もそこそこなので、読破には努力が必要です。
ただ、よくある話なのですが、アメリカ人とアジア人、日本人では感覚が違うので、アメリカで通用するプロファイリングが、日本人には合わなかったりします。
ですので、参考程度に読むのが良いと思います。
日本人には日本人にあった教え方がある筈です。
それと、教えるのも才能なので、下手な人はどれだけ本を読んでも下手です。
私の知る限り、教えるのが下手な人はどれだけ努力しても上手くなりません。
ですので、客観的に自分を見るか、他人から評価して貰って、教える才能がなかったら、諦めましょう。
努力するだけ時間の無駄です。「教える」のは難しいんです。
専門的な内容もあり、文字数もそこそこなので、読破には努力が必要です。
ただ、よくある話なのですが、アメリカ人とアジア人、日本人では感覚が違うので、アメリカで通用するプロファイリングが、日本人には合わなかったりします。
ですので、参考程度に読むのが良いと思います。
日本人には日本人にあった教え方がある筈です。
それと、教えるのも才能なので、下手な人はどれだけ本を読んでも下手です。
私の知る限り、教えるのが下手な人はどれだけ努力しても上手くなりません。
ですので、客観的に自分を見るか、他人から評価して貰って、教える才能がなかったら、諦めましょう。
努力するだけ時間の無駄です。「教える」のは難しいんです。