![商社の快進撃 (週刊ダイヤモンド 2023年 2/3号) [雑誌]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/81SY5P6sdLL._AC_UL160_SR160,160_.jpg)
日経産業新聞編となっていることから、良くも悪くも、2020年以降の日経新聞、日経産業の取材・記事を活かした内容となっており、大手5社を比較する意味で上手く纏められている。
本書の想定読者を考えてみると、まず商社を新卒・中途採用で志望する学生やビジネスパーソンが商社の概要を知る目的で読む、ということが挙げられ、その目的は概ね達することができる。
次に投資家の観点でみると、5社の定量比較は記載されているものの、必ずしもアナリスト的な分析がなされている訳ではなく、「進化論」というタイトルではあるものの、将来的な収益の柱を見極めているものでもないので、その目的には適さないであろう。
現在これら5社に勤務している社員、或いは密に取引をしている取引先企業の視点でみると、各商社のトップが何を考え、どのような景色をみているのか、ということを知る意味で、有意義である。
色々なことをやっている総合商社であるが故に、メディアに発信する情報は「総花的」になりがちであり、それを拾い集めたものも「総花的」にならざるを得ないが、一つのエポックはバークシャー・ハザウェイが2020年8月に商社株を「大人買い」したことを公表した後に、商社株が高騰したことである。
それまで「コングロマリット・ディスカウント」の代表的銘柄だったものが、「プレミアム」に転換したが、本書を読むと、総合商社の魅力は多様性であり、業際や産業横断的に新しいビジネスを作り出す力であり、その時代時代で業態を変え、100年以上生き残って来た生命力であるとすれば、「コングロマリット・サステイナブル」とでもいうものではないかと感じる。
最後に5社社長が「商社」をどう見ているのか、という点も興味深い。「もはや商社ではない」、「産業横断的な事業」にポートフォリオを拡げる、「遠近両用広角レンズ」で物事をみる、「ビジネスエンジニアリグ会社」、「究極の御用聞き」などの表現は会社の性格や社長の個性を感じさせる。
「商社」業界とは言われるが、その強みや事業ポートフォリオは会社によってかなり違って来ている。バフェット自身、5社への投資は、個別企業5社への投資ではなく、これらを一括りのポートフォリオとして考えて投資しているのではないかとも感じる。
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