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街とその不確かな壁 ハードカバー – 2023/4/13

4.3 5つ星のうち4.3 2,833個の評価

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村上春樹、6年ぶりの最新長編1200枚、待望の刊行!

その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2023/4/13)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2023/4/13
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ハードカバー ‏ : ‎ 672ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4103534370
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4103534372
  • 寸法 ‏ : ‎ 14 x 3.5 x 19.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 2,833個の評価

著者について

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村上 春樹
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1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。

1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。

カスタマーレビュー

星5つ中4.3つ
5つのうち4.3つ
2,833グローバルレーティング

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村上ワールドを満喫【ネタバレ・取扱注意】
4 星
村上ワールドを満喫【ネタバレ・取扱注意】
唯井、村上春樹に触れる当零細Blogで氏の作品を扱う時は、概ね批判的なものでしたが、今回は好感を持って読み終えることができました。その理由の第一は、その長さにあります。全647ページ、長編と謳われていますが、氏のこれまでの長編小説からすれば驚くほど短い部類ではないでしょうか。それが幸いして、ストーリーがすっきりと展開され、これまでしばしば見られた無用な停滞がなく、見通しの良い仕上がりになっています。特に全編のテーマの提示部にあたる第一部は、ラノベ調+パラレルワールドで軽快に展開されます(挿絵がレイアウトされていたら、何て夢想してみました)。ここで、唯井はごく自然に村上ワールドに入ることができました。第二部は、本来の村上節炸裂ですが、本作中央部に子易さんの半生記とイエローサブマリンの少年の登場を配置して、物語の中弛みや停滞を救ってくれています。おそらく、ハルキストと称する方々は随喜の涙を流すであろう、次のような表現に、唯井は初めてその良さを感じました。ちょうど夜が明けて、やがて窓から日が差してくるみたいに(P249)凍えた鉄釘に劣らず、命をそっくりなくしております(P.288)驚くほど短い第三部は、実に55ページに過ぎないのですが、それまでの物語りをひっくり返すに堪える素晴らしい結末です(村上作品の結末は何時もこう上手くいったためしがない)。本作のテーマタイトルにもある“壁”、街の掟である“影”と切り離されること、図書館にある“半地下”の正方形の部屋、物語の推進役になる主人公が観る“夢”。どうしても欠かすことのできない村上ワールドの小道具類―――”ブルーベリーマフィン”やクラシック音楽、JAZZの名曲の数々。主人公が手慣れた手際で拵える手料理と酒・・・。※ SEX描写は、何故か封印されています。17歳の主人公と1歳年下の彼女との会話でから生み出された壁に囲まれた街。その内側と外側という物理的間隔と、影と本体とが共振して、主人公の実体が解体していく不穏な予感で終わる第二部―――、ねえ、わかった? わたしたちは二人とも、ただの誰かの影に過ぎないのよ。(P.598)これまでの村上作品では、物語はここまで進むものの結末が拡散してしまい、もやもや感満載のラストとなってしまっていた訳ですが、本作では先に書いたとおり、驚嘆すべき、あるいは見事な結末が用意されていました(!)。第三部の意味嵐は、村上作品に対して、珍しくストーリーの先読みをして読み進めました(もちろん、悉く外れたのは言うまでもありません)。そうした無駄な先読みを見事に、鮮やかに裏切ってくれたのが第三部です。ここで、読者は第二部の主人公が、実は、第一部で単身街を命がけで脱出した主人公の”影”だったことを知らされます。大丈夫です。心配はいりません。あなたの影は外の世界で無事に、しっかり生きています。そして、立派にあなたの代わりを務めています。(P.645)賛否両論のある、A・クリスティーの『アクロイド殺し』のトリックです。第二部の主人公にたっぷり感情移入している読者にとって、これは衝撃的なラストでしょう。そして、嵐も作者の語りを追いかけて、先読みを含めて、主人公の行く末を案じていただけに、ショックは大きかった・・・。そして、この衝撃、ショックこそ村上春樹氏が本作に込めたテーマだったのです(そして、少なくとも、嵐には大成功と賛辞を贈りたいと思います)。騙された!と憤慨する読者がいたら、それだけ本作が成功作である証拠であり、作者は一人ほくそ笑むことでしょう・・・。本作の瑕疵例えば、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は立派な推理小説と評することも可能です。しかし、そういうジャンル分けを飛び出して歴史的な名作に成りえたのは、作品に盛り込まれたサブストーリーにあります。村上春樹氏の本作が傑作と呼ばれるためには、そのサブストーリーに注目しなければなりません。アンチ・ハルキストを自認する嵐から観ると、本作のサブストーリーは貧弱です。子易さんの人生訓(55-P496~P.504)はなかなか読ませる内容ですが、他の、例えばコーヒーショップのオーナー兼店長の女性とのやり取りの食い足りなさ、街の成り立ちについての説明(主人公の解釈)の省略など、本作を読みやすくさせた分、刈り込みが過ぎたようでもあります。唯井にとって楽しく村上ワールドを満喫できましたが、世のハルキスト諸氏はどう評価するでしょうか(なお、本エントリを書くにあたって、本作の書評、レビューは一切読んでいません。掛け値なしの唯井の感想であることを書き添えておきます)。
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上位レビュー、対象国: 日本

2024年4月29日に日本でレビュー済み
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皆意識下では色々な世界に行き来しています。
これを具象化して普遍的な物語にできるのが
村上春樹。異世界との曖昧な境界が核になっていると感じました。なんとかついていけました。
次は現代世界の都会でハードで光りある物語を。
2024年3月31日に日本でレビュー済み
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タイトルが全てです。作品としてもっと感動したもの、衝撃を受けたもの、圧倒させられたものは他の作品かもしれません。だけど間違いなく一番大好きだと思えた一作でした。
ずっと心に仕舞っておきたい、最高に愛おしい物語でした。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2024年3月21日に日本でレビュー済み
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分厚い1冊を一気に読んでしまった。村上春樹文学の信奉者としては、どっぷり春樹ワールドに浸かって至福の時間を過ごすことができた。が、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』で、春樹文学のおもしろさに目覚めた身には、どうしても「どこかで読んだことがあるような……」が多々あり、純粋におもしろい作品なのだが、どうしても★5つにはできなかった。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2024年2月10日に日本でレビュー済み
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bought it for one friend who is collecting Murakami’s books, the crazy thing is that he doesn’t know Japanese so I don’t see the point of collecting it… I, on the other hand, am waiting for the English version to buy it and read it properly.
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年8月11日に日本でレビュー済み
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著者としては、あなめずらしやな巻末の"解説文"も含めて
本文の総頁数は六百六十一。
なんて書くと、ソレだけで圧倒されちゃうヒトも居ようが
今回もサクサク読め、実質1日半で読了。
壁に囲まれた街での《私》と《影》によるやり取りの件を読んでると
なぜかエーヴェルス『プラークの大学生 Der Student von Prag』と
東映の特撮TVドラマ『ザ・カゲスター』が頭の中で渦巻いてウルさかった!
村上長編ここ数作品で"個人的に"恒例となっている脳内キャスティング。
今回も主人公に当たる
"私=僕"は最大公約数的な《名優》という意味合いから
役所こうじ(漢字がわかんない)。
子易さんは『マカロニほうれん荘』の"きんどーさん"・・・
は、いいとして後半からキーパーソン的な役割を担う
イエロー・サブマリン少年が
『レインマン RAINMAN』のダスティン・ホフマンで終始してしまっている
のに我ながら想像力の枯渇を覚えガクゼン。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2024年3月16日に日本でレビュー済み
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繊細で奥深く美しい
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年12月25日に日本でレビュー済み
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この本は静かで奥深い文章表現に圧倒されます。巨匠の手によって推敲を重ねられ、磨き上げられた文章は淡々と読み進めることができます。ネットの時代にあって情報があふれる現代において、進行速度がゆっくりで美しい文章がちりばめられた本作品は、読者に癒しと感銘を与えるでしょう。ラストも大作にふさわしく美しく印象に残ります。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2024年2月4日に日本でレビュー済み
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この本を読む前に、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでおく必要があります。必須です。昔、読んだという人も、どう終わっているかを正しく認識しておくと良いです。私は経年により誤った「結末」で覚えていました…。

さて、皆さんの評価は高いですが、5★でもなく、3★でもなくといった感じです。
続編扱いと言っても良いでしょうか、新たな振れ幅の大きい感動はなく、静かに物語が進んでいきます。エロも暴力もありません。

読みながら、過去の村上作品の「海辺のカフカ」、「国境の南 太陽の西」や、映画「インセプション」も思い出し、残念ながらそれらに比べてかなり弱いと感じました。登場人物を一人ひとりに焦点を当てるならば、書き切れておらず、高評価の要因として『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のイメージで補完されていると考えられます。

小説の本質からは外れますが、人々のコミュニケーションがスマートフォン中心となってくると、1980・1990年代に活躍していた小説家には現代を描くことが特に難しい時代となっています。できれば、村上氏にはある程度の適応をして欲しかったと思いました。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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