プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥3,520¥3,520 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥3,520¥3,520 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥2,651¥2,651 税込
配送料 ¥410 6月1日-3日にお届け
発送元: KAUZO(嵯峨野株式会社)毎日・迅速・丁寧な発送に心掛けています 販売者: KAUZO(嵯峨野株式会社)毎日・迅速・丁寧な発送に心掛けています
¥2,651¥2,651 税込
配送料 ¥410 6月1日-3日にお届け
発送元: KAUZO(嵯峨野株式会社)毎日・迅速・丁寧な発送に心掛けています
販売者: KAUZO(嵯峨野株式会社)毎日・迅速・丁寧な発送に心掛けています
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
アルツハイマー病研究、失敗の構造 単行本 – 2023/8/17
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥3,520","priceAmount":3520.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"3,520","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"ZVRKxE5vAHxK9xX%2FGYJ%2FJB%2Bi%2FiZFGHsf1IMDF5RQoGIe0yuNftfIGv%2FpM8Zxh8ZItSSgBFR24CkVx4ZwJDd7GbMd%2BZ8Hphp0HEgqNkbmQ4YmUIXFJtG4kPvLQ%2FDbtXpbzfYw0CF4eE8%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥2,651","priceAmount":2651.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,651","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"ZVRKxE5vAHxK9xX%2FGYJ%2FJB%2Bi%2FiZFGHsf5JAVt0M9r9F5e8qFa0X%2BcQdpV303dF2AomMbj2cxioifG9H56xTA5k11VtMqJlbJ7WxAWbXXfKoV%2Bu6xDVUCftPiHXZtn9U4bdExccyhePiKMLLC2wFf7mJZC7qgRGeq7pN1D%2FWmYG7XcrdwX6IBMA%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
科学によってアルツハイマー病を克服するためには、まずこの現状を見直さなければならない。インサイダーだけが知る、袋小路に陥ったアルツハイマー病研究分野の今。
「私たちはアミロイドのみのルートを通ってアルツハイマー病の治療薬を追い求めてきたために、多くの時間を失った。たぶん10~15年は無駄にしてきただろう」(本文より)。
実績ある科学者が、アカデミズム・製薬産業・関係官庁三つ巴の迷走の驚くべき裏事情を明かす。良心的な告発の書であり、アルツハイマー病についての直近数十年間の認識じたいを根本から問い直す一冊。
目 次
日本語版に寄せて
プロローグ
I 初めに何があったのか
第1章 患者と家族、市民にとってのアルツハイマー病の歴史
第2章 医師にとってのアルツハイマー病の歴史
第3章 科学者にとってのアルツハイマー病の歴史
第4章 謎が解けた! アルツハイマー病研究を変えた四つの発見
II 夢の治療薬はどこへ行った?
第5章 アルツハイマー病病理モデル構築の試み
III 両刃の剣
第6章 国による基礎生物医学への支援
第7章 製薬・バイオ産業
第8章 モデルの検証と、その無惨な結果
第9章 アルツハイマー病とは何だろうか?
IV では、ここからどうする?
第10章 老化の生物学から始めよう
第11章 アルツハイマー病の新しいモデルをつくる
第12章 研究戦略の多様化を図る
第13章 関連機関のあり方を見直す
第14章 終わりに
謝辞
原注
索引
「私たちはアミロイドのみのルートを通ってアルツハイマー病の治療薬を追い求めてきたために、多くの時間を失った。たぶん10~15年は無駄にしてきただろう」(本文より)。
実績ある科学者が、アカデミズム・製薬産業・関係官庁三つ巴の迷走の驚くべき裏事情を明かす。良心的な告発の書であり、アルツハイマー病についての直近数十年間の認識じたいを根本から問い直す一冊。
目 次
日本語版に寄せて
プロローグ
I 初めに何があったのか
第1章 患者と家族、市民にとってのアルツハイマー病の歴史
第2章 医師にとってのアルツハイマー病の歴史
第3章 科学者にとってのアルツハイマー病の歴史
第4章 謎が解けた! アルツハイマー病研究を変えた四つの発見
II 夢の治療薬はどこへ行った?
第5章 アルツハイマー病病理モデル構築の試み
III 両刃の剣
第6章 国による基礎生物医学への支援
第7章 製薬・バイオ産業
第8章 モデルの検証と、その無惨な結果
第9章 アルツハイマー病とは何だろうか?
IV では、ここからどうする?
第10章 老化の生物学から始めよう
第11章 アルツハイマー病の新しいモデルをつくる
第12章 研究戦略の多様化を図る
第13章 関連機関のあり方を見直す
第14章 終わりに
謝辞
原注
索引
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2023/8/17
- 寸法19.4 x 13.1 x 2.5 cm
- ISBN-104622096293
- ISBN-13978-4622096290
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
出版社より
直近数十年の認識自体を問い直す、真摯な総括と告白の書!
商品の説明
著者について
カール・ヘラップ
(Karl Herrup)
ピッツバーグ大学医学校神経生物学教授。香港科技大学生命科学教授(兼任)。1974年、スタンフォード大学にてPh.D.(神経科学)を取得。ハーバード・メディカルスクールとバーゼル分子生物医学研究所神経薬理部門で博士研究員を務めたのち、イエール大学ヒト遺伝学部門助教(1978-1984年)、同准教授(1984-88年)、ハーバード・メディカルスクール神経生物学部門准教授(1988-92年)などを経て、1992年にケース・ウェスタン・リザーブ大学メディカルスクール神経科学・神経学部門(および、同大学病院、在クリーヴランド)の教授となり、1999-2005年には同大学アルツハイマー病研究センターのディレクターを務めた。2006-2012年、ラトガース大学教授となり細胞生物学・神経科学部門長を務める。2012-2019年、香港科技大学生命科学部門長。2019年から現職。ISTAART(The Alzheimer's Association International Society to Advance Alzheimer's Research and Treatment)執行委員(2012-2016年)。Coins for Alzheimer's Research Trust科学評価委員(2005年-現在)。北米神経科学学会員。ピッツバーグ在住。
主要な査読付き学術誌に200本以上の論文を発表している。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
梶山あゆみ
(かじやま・あゆみ)
東京都立大学人文学部英文科卒。訳書に、イーグルマン『脳の地図を書き換える━━神経科学の冒険』(早川書房、2022)、アクティピス『がんは裏切る細胞である』(みすず書房、2021)、ノア・ハラリ/ヴァンデルムーレン他『漫画 サピエンス全史 文明の正体編』(河出書房新社、2021)、シンクレアほか『LIFESPAN──老いなき世界』(東洋経済新報社、2020)、ジョンソン他『10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち――世界初のパーソナルゲノム医療はこうして実現した』(紀伊國屋書店)、ウィンチェスター『精密への果てしなき道──シリンダーからナノメートルEUVチップへ』(早川書房、2019)、ブラウン『冥王星を殺したのは私です』(飛鳥新社、2012)、ほか多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
(Karl Herrup)
ピッツバーグ大学医学校神経生物学教授。香港科技大学生命科学教授(兼任)。1974年、スタンフォード大学にてPh.D.(神経科学)を取得。ハーバード・メディカルスクールとバーゼル分子生物医学研究所神経薬理部門で博士研究員を務めたのち、イエール大学ヒト遺伝学部門助教(1978-1984年)、同准教授(1984-88年)、ハーバード・メディカルスクール神経生物学部門准教授(1988-92年)などを経て、1992年にケース・ウェスタン・リザーブ大学メディカルスクール神経科学・神経学部門(および、同大学病院、在クリーヴランド)の教授となり、1999-2005年には同大学アルツハイマー病研究センターのディレクターを務めた。2006-2012年、ラトガース大学教授となり細胞生物学・神経科学部門長を務める。2012-2019年、香港科技大学生命科学部門長。2019年から現職。ISTAART(The Alzheimer's Association International Society to Advance Alzheimer's Research and Treatment)執行委員(2012-2016年)。Coins for Alzheimer's Research Trust科学評価委員(2005年-現在)。北米神経科学学会員。ピッツバーグ在住。
主要な査読付き学術誌に200本以上の論文を発表している。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
梶山あゆみ
(かじやま・あゆみ)
東京都立大学人文学部英文科卒。訳書に、イーグルマン『脳の地図を書き換える━━神経科学の冒険』(早川書房、2022)、アクティピス『がんは裏切る細胞である』(みすず書房、2021)、ノア・ハラリ/ヴァンデルムーレン他『漫画 サピエンス全史 文明の正体編』(河出書房新社、2021)、シンクレアほか『LIFESPAN──老いなき世界』(東洋経済新報社、2020)、ジョンソン他『10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち――世界初のパーソナルゲノム医療はこうして実現した』(紀伊國屋書店)、ウィンチェスター『精密への果てしなき道──シリンダーからナノメートルEUVチップへ』(早川書房、2019)、ブラウン『冥王星を殺したのは私です』(飛鳥新社、2012)、ほか多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2023/8/17)
- 発売日 : 2023/8/17
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 352ページ
- ISBN-10 : 4622096293
- ISBN-13 : 978-4622096290
- 寸法 : 19.4 x 13.1 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 164,102位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 524位脳・認知症
- - 2,480位生物・バイオテクノロジー (本)
- - 8,805位医学・薬学・看護学・歯科学
- カスタマーレビュー:
イメージ付きのレビュー
5 星
アルツハイマー病研究が失敗続きなのは、なぜか
【アルツハイマー病】誰でもアルツハイマー病を発症する可能性があることを考えると、『アルツハイマー病研究、失敗の構造』(カール・ヘラップ著、梶山あゆみ訳、みすず書房)は多くの人に読まれるべき一冊である。医療関係者、医薬品業界関係者にとっては必読の書と言えるだろう。「私たちはアミロイドのみのルートを通ってアルツハイマー病の治療薬を追い求めてきたために、多くの時間を失った。たぶん10~15年は無駄にしてきただろう」。本書で注目すべきは、下記の3つである。【アミロイドカスケード仮説】第1は、アルツハイマー病の治療薬の研究・開発が「アミロイドカスケード仮説」一本槍の現状に対する異議申し立てである。「アミロイドカスケード仮説」とは、アルツハイマー病はアミロイドプラークと神経原線維変化(もつれ)が病因と考える仮説である。「アミロイドβがアルツハイマー病の唯一無二の原因だという考え方が、無理もないことだが強力に推進されることとなった。その考え方を初めて統合して詳述したのがアミロイドカスケード仮説であり、今日に至るまでそれがアルツハイマー病研究における主流の疾患モデルとなっている。不幸なのは、その支配的な立場がほかの仮説を抑圧するのに利用されたことである。価値ある仮設はいつくもあり、そのいずれもがアミロイドカスケード仮説の核となる考えと程度の差はあれ親和性をもっていた。にもかかわらず抑え込まれたことで、私たちの研究の守備範囲から多様性が根こそぎ奪われた。アミロイド以外の研究論文の発表も妨げられ、ほかの仮説を探究しようとするグループへの研究資金も減らされた」。著者がアミロイドカスケード仮説は落第と判定した検証結果が示されている。①ヒトでもマウスでも、健康な脳にアミロイドを加えたからといってアミロイドカスケードが始動することはない。②ヒトの場合、アルツハイマー病患者の脳からアミロイドを除去しても病気の進行は止まらない。③前駆体であるAPPからアミロイドを切り出せないようにしても、病気を食い止められないばかりか、ヒトでもマウスでも健康状態を損なう。【老化】第2は、アルツハイマー病は老化との関係を重視すべきという提言である。「私のモデルの土台には、老化なくしてアルツハイマー病なしという不動の真実がある。老化を根幹に位置づけるのが私の狙いである」。「認知症研究を前進させるうえで、老化を研究すること以上に見返りの大きい投資はない」。「DNAの損傷が未修復のまま蓄積することが老化プロセスを進行させるおもな要因だ」。【仕切り直し】第3は、国、大学、製薬企業に対する、アルツハイマー病への取り組み方を一度リセットして仕切り直ししようという呼びかけである。「(私たちが目指すべきは)アルツハイマー病研究が迷い込んだ袋小路から抜け出す道を描き出すことである。進路変更の道筋をはっきりと示すには、アルツハイマー病の定義を考え直すとともに、その複雑な生物学的仕組みを説明できる新しい仮説を提案しなくてはならない」。
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在のアルツハイマー病研究の隘路になるという主張。現在の抗体製薬も、1年で一部の患者の病状進行を止めるだけなのに、一人当たり医療費が300万円もかかるという。アミロイド蛋白だけに注目した研究は先が見えぬ隘路に入り込んでいる。
2023年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
研究開発においてはある方向に先走ってしまうことはよくあることで、それが結果的に良かったことも往々にしてあります。アルツハイマー病の場合もアミロイドβをターゲットにした治療薬開発は一つの方向で一定の結果が出ていて、アルツハイマ―病研究全体が失敗とは言えないと考えます。しかし他の研究の方向性は絶対必要です。本書は広範な関連分野に言及されていていろいろな気付きを与えてくれます。研究戦略の再構築や研究機関のありかたなど興味ある内容が多いです。
2024年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本が優れているのは生命とは何か本質的なことを考えさせられる点です
若い学者にはこの手の本は絶対書けません
あぁ…自分はこの分野のこと本当に好きなんだと思い知らされる
久しぶりにセル読みたくなりました
若い学者にはこの手の本は絶対書けません
あぁ…自分はこの分野のこと本当に好きなんだと思い知らされる
久しぶりにセル読みたくなりました
2024年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
素晴らしい内容。アミロイド仮説ありきで推し進められてきた研究・国策・商業主義の闇がよくわかる。
2023年9月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アミロイド仮説と異なる考え方に光を当てることは極めて重要であり、本書の価値は高い。ただ、アミロイド学派も反アミロイド学派も感情的な面がある。本書の論旨もアミロイド学派からは一定論理的な反論が出そうであり、結局、議論は平行線をたどるのではないかと感じた。
2023年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アミロイドプラークが脳に蓄積することがアルツハイマー病の原因であるという、最も古くシンプルな説に拘泥して他の仮説を排斥した結果、根治に向けた研究が全く進まず、15年を無駄にしたと著者は嘆く。
2021~2022年に承認されたレカネマブもアデュカヌマブもこのアミロイドを除去することを主眼においた薬で、病気の進行をわずかに抑える程度の効果しかなく、批判的に触れられている。
説得力がありながらも門外漢にも理解できるわかりやすさとほどよいユーモアで読みやすいが、途中の数章は痛烈に過去の研究を批判しており、いずれも「こんなやり方で人間の疾患を研究できるはずがない。」という印象的なフレーズで結ばれている。筆者は今後の研究の進め方について提言をしているが、その一方でアルツハイマー病のニュースを調べると、アミロイドを除去する新薬が出来たという報道しか見当たらず、暗澹とした気持ちになる。
関連する本を他に読んだこともない私がこの本を読むとアルツハイマー病の研究には明らかな問題があるように思われてくるが、少しWebで検索したくらいでは同様の主張というのはあまり見られない。従ってこの本の医学的な主張を真に受けてよいのかどうかはいったん留保する方がよさそうに思われる。ただしこの本の医学的な主張は、アミロイドが直接の原因になっているという単純なモデルはさっさと捨てて、もっと複雑なシステムをモデリングして広い視点から様々な仮説を立て、広汎な基礎研究をすべきだ、というものである。○○でアルツハイマー病が治る!といった安易な解を一切匂わせないという点で、この本の信頼度はとても高いと感じられる。いずれにせよ、もう少し他の立場からの見解をまとまった分量で読みたくなる。
一般的な失敗の構造として捉えるなら、相関と因果を取り違えて(あるいは違いを無視して)、また様々な仮説を吟味せず棄却することで袋小路にはまりリソースを浪費したということになるだろう。著者もアミロイドの蓄積がアルツハイマー病の発症と相関を持つことは認めていて、この点は何度も強調している。ただ因果が全くわかっていないことをなぜ突き詰めなかったのか、というのが指摘であり、これは著者の言うとおり臨床医師と研究者の根本的な考え方の違いによるところもあるのだろう。
我が身を振り返って考えると、現場のエンジニアというのはある意味で臨床医師に近いところがあり(「目の前に困っている顧客がいる」)、要求された機能・性能を満たすプロダクトを納期までに完成させることが第一義となりがちである。性能の理論的な検証やバグがないことの論理的な裏付けは二の次となることも多かった。ビジネスや組織の要求と真実の追究のバランスは常に難しいものがあり、他山の石としたい。
2021~2022年に承認されたレカネマブもアデュカヌマブもこのアミロイドを除去することを主眼においた薬で、病気の進行をわずかに抑える程度の効果しかなく、批判的に触れられている。
説得力がありながらも門外漢にも理解できるわかりやすさとほどよいユーモアで読みやすいが、途中の数章は痛烈に過去の研究を批判しており、いずれも「こんなやり方で人間の疾患を研究できるはずがない。」という印象的なフレーズで結ばれている。筆者は今後の研究の進め方について提言をしているが、その一方でアルツハイマー病のニュースを調べると、アミロイドを除去する新薬が出来たという報道しか見当たらず、暗澹とした気持ちになる。
関連する本を他に読んだこともない私がこの本を読むとアルツハイマー病の研究には明らかな問題があるように思われてくるが、少しWebで検索したくらいでは同様の主張というのはあまり見られない。従ってこの本の医学的な主張を真に受けてよいのかどうかはいったん留保する方がよさそうに思われる。ただしこの本の医学的な主張は、アミロイドが直接の原因になっているという単純なモデルはさっさと捨てて、もっと複雑なシステムをモデリングして広い視点から様々な仮説を立て、広汎な基礎研究をすべきだ、というものである。○○でアルツハイマー病が治る!といった安易な解を一切匂わせないという点で、この本の信頼度はとても高いと感じられる。いずれにせよ、もう少し他の立場からの見解をまとまった分量で読みたくなる。
一般的な失敗の構造として捉えるなら、相関と因果を取り違えて(あるいは違いを無視して)、また様々な仮説を吟味せず棄却することで袋小路にはまりリソースを浪費したということになるだろう。著者もアミロイドの蓄積がアルツハイマー病の発症と相関を持つことは認めていて、この点は何度も強調している。ただ因果が全くわかっていないことをなぜ突き詰めなかったのか、というのが指摘であり、これは著者の言うとおり臨床医師と研究者の根本的な考え方の違いによるところもあるのだろう。
我が身を振り返って考えると、現場のエンジニアというのはある意味で臨床医師に近いところがあり(「目の前に困っている顧客がいる」)、要求された機能・性能を満たすプロダクトを納期までに完成させることが第一義となりがちである。性能の理論的な検証やバグがないことの論理的な裏付けは二の次となることも多かった。ビジネスや組織の要求と真実の追究のバランスは常に難しいものがあり、他山の石としたい。
2023年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者のカール・ヘラップ(ピッツバーグ大学医学校神経生物学教授)は、アルツハイマー病研究が袋小路に入り込むきっかけとなったアミロイドカスケード仮説(カスケード=連鎖反応)の問題について、一つひとつ丁寧に解説していきます。
ヒトの家族性アルツハイマー病の原因遺伝子の一つであるAPP遺伝子を導入したマウスの脳に、アルツハイマー病の原因と目されるアミロイドβプラークが出現し、ワクチンを投与したところプラークが消失し効果が現れたときの胸の高まりを伝えてくれます(90頁)。一方で、ヒトにワクチンを投与した場合、プラークは脳からきれいになくなるもののアルツハイマー病は消えないことを指摘し(91頁)、アミロイドカスケード仮説に疑問を投げかけます。
私は長年に渡って認知症診療に携わってきました。アミロイドカスケード仮説に疑問を持ったことはほとんどなく、すっかり洗脳されてしまった一人なのかも知れません。
注目のアルツハイマー型認知症の新薬(レカネマブ)の臨床試験におきましては、アミロイドは相当量減少するもののアルツハイマー病の消失(根治)には至らず、進行抑制効果に留まったことが報道されています。
筆者は最後の数章で、老化とアルツハイマー病の新しいモデルを提示します(320頁)。そして、その一つの戦術として大幅なカロリー制限の可能性を紹介しました(237頁)。実は、このカロリー制限と老化・認知症の関係は2011年に『NHKスペシャル』におきまして長寿遺伝子の発動として報道されており、私もその秘められた可能性については強い関心を寄せておりました。
アルツハイマー病研究の歴史を詳細に勉強したい方にはお薦めの一冊です。
ヒトの家族性アルツハイマー病の原因遺伝子の一つであるAPP遺伝子を導入したマウスの脳に、アルツハイマー病の原因と目されるアミロイドβプラークが出現し、ワクチンを投与したところプラークが消失し効果が現れたときの胸の高まりを伝えてくれます(90頁)。一方で、ヒトにワクチンを投与した場合、プラークは脳からきれいになくなるもののアルツハイマー病は消えないことを指摘し(91頁)、アミロイドカスケード仮説に疑問を投げかけます。
私は長年に渡って認知症診療に携わってきました。アミロイドカスケード仮説に疑問を持ったことはほとんどなく、すっかり洗脳されてしまった一人なのかも知れません。
注目のアルツハイマー型認知症の新薬(レカネマブ)の臨床試験におきましては、アミロイドは相当量減少するもののアルツハイマー病の消失(根治)には至らず、進行抑制効果に留まったことが報道されています。
筆者は最後の数章で、老化とアルツハイマー病の新しいモデルを提示します(320頁)。そして、その一つの戦術として大幅なカロリー制限の可能性を紹介しました(237頁)。実は、このカロリー制限と老化・認知症の関係は2011年に『NHKスペシャル』におきまして長寿遺伝子の発動として報道されており、私もその秘められた可能性については強い関心を寄せておりました。
アルツハイマー病研究の歴史を詳細に勉強したい方にはお薦めの一冊です。
2023年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これまで長い間、アルツハイマー病の研究は「アミロイドカスケード仮説」に基づいてなされてきた。それは、ある種の強力な思い込みや呪縛でもあった。その仮説に基づかない研究は、研究予算が取れずに蔑ろにされてきた。
その呪縛のせいで、アルツハイマー病の研究の進展が遅れ、新薬開発も遅れてきた経緯が、本書で述べられている。記述は読みやすく、また冷静で説得力がある。
アミロイドカスケード仮説に基づく新薬であるレカネマブが2023年にアメリカで承認されたが、それでも本書の内容が覆されることはない。いや、むしろそのような現時点だからこそ、本書の主張に真剣に耳を傾けなければいけないと感じた。でないと、ますますアルツハイマー病治療の実現が遠のいてしまう。
その呪縛のせいで、アルツハイマー病の研究の進展が遅れ、新薬開発も遅れてきた経緯が、本書で述べられている。記述は読みやすく、また冷静で説得力がある。
アミロイドカスケード仮説に基づく新薬であるレカネマブが2023年にアメリカで承認されたが、それでも本書の内容が覆されることはない。いや、むしろそのような現時点だからこそ、本書の主張に真剣に耳を傾けなければいけないと感じた。でないと、ますますアルツハイマー病治療の実現が遠のいてしまう。